第27話 私が好きなのは

 家、アパート、スーパー、薬局、それから多種多様な小さなお店。

 背伸びしない、けれど確かな賑やかさを持つこの街、季節ヶ丘の住宅街だ。


 再寧は昼下がりの街をキビキビと歩いていた。その様子からして、散歩ではないことは確かだ。

 ふと足が止まる。目線の先には停車した一台の車。

 キョロキョロし、ちょうど電信柱の横へ雑に放られていたビンケースを見つけた。

 再寧はそれを置いて足場として窓ガラスをノック、運転手と目を合わせる。


「何も助手席開けて中で話せばいいだろうに。一四〇センチでは車越しに話すのは面倒だろう」

「一四〇とセンチだ。ひゃく、よんじゅう、い、ち、センチ。二度と間違えるな」


 露骨におちょくるその人物は、探偵であり後輩の深里みさとであった。

 ムっときた再寧は、深里の探偵帽を下げてやりながら話す。


「現場は?」

「動きナシさ。呑んだ次の朝からコレとは、やれやれ華蓮先輩と付き合う男はさぞ苦労するだろうな」

「ならば最前線から退くか?」

「結構さ。この張り込みという役割、私を置いて他に適任者もいないだろう」


 余裕の表情で語る深里の指先からは、半透明の糸が一軒のマンションに向けて伸びていた。深里のリンカー『コッペリア』の糸だ。


「その為に課長の車まで借りることになるなんて、私はどうかと思ってるがな」

「おや、ご自分の課長殿をおとしめるのかね?」

「不愉快な言い方はよせ。刑事でもないヤツに張り込みを任せようなど、私は気が進まん」

「客員としてこれ以上ない適役だろう」

「リンカー能力者不足でたまたまと捉えろ。自惚れが過ぎるのがお前の悪いクセだ」

「肝に銘じるよ、先輩」


 ニヤニヤ余裕のまま、深里は手を軽く振り窓ガラスを閉めた。

 再寧は「しかしまあ」と呟いて、足場にしていた箱から降りて道路の脇に戻した。


 再寧の役職は警部補。捜査一課の一員として事件を捜査するのが主な仕事の一つだ。

 事件とは、発生した事であり、それを予め治める事はほとんどない、とも言えるかもしれない。それは治安維持であり、捜査一課の仕事ではないからだ。


 再寧は不気味な静寂さを持つ部屋を一瞥し、穏やかな街へと足を運ぶ。


 *


 僕です、我妻 タマキです。

 12月に突入し、放課後の時点で既に太陽は横から差しています。


 バイトを制した僕の足取り、なんて軽やかなんだろうか。帰ったらすぐに家に帰っていいんだ。

 日差しが心地いい……。まるで祝福の光だ。

 僕のような陰キャさえも優しく包む太陽好き……。夏はあんなに地獄のように焼き尽くすというのに。今のうちに感謝しておけば来年は見逃してくれるかな……。


「さてタマキ」

 日向ぼっこ中な僕の真横にポンっと出現するヒカリ。バッグから出てるのには違いないのにそんなポップでファンタジーな事できたのかと僕は言いたい。

「3人のお友達を断って、もしや用事は再寧さんかと推理するけど」

「お察しの通りだよ。仕事中なら遠慮するけど、ああでもその前に、ちょっと寄る所が……」


 そう言いながらも着いたのは照日てるひ公園。いつも夕暮れの今頃に、ネルお姉さんが物思いにふけって……。


「いやいや〜、怪しいモンじゃないよ? ココアシガレットいる? ガキンチョ誤魔化し用のさぁ〜」

「……私には嫌いなものがあります。子供だましのウソと、酢豚に入ってるパイナップルです」


 事情聴取されてるーっ!?


 大きいネルお姉さんを、ただでさえ小さい再寧さんが見上げるその間に僕は焦って割って入ってどうのこう!


「待って、待って再寧さん! その人は不審者じゃないというか、でも不審者ってヒカリから言われてるけど違くって、えとじゃあタダの変なOLで……」

「フォローヘタか〜?」

「うぐっ……」

「変な人なのは認めるのね」

「特徴あるってことだかんね〜」


 ニコニコ糸目。ネルお姉さんは相変わらずの調子らしい。

「むっ、お知り合いなのですか。私の態度に気を悪くしたのなら、謝罪します」

「いやいやいいんだよ〜。つかまだ何も始まってなかったってか、私がちょいふざけたせいってか」


 再寧さんとネルお姉さん、顔を合わせたのは初めてか、そういえば。初対面の人相手にするネルお姉さん、なんか貴重かも。


 警察相手だと身構えるかと思うけど、少なくとも再寧さんはそんな印象を抱かれる人とは思えない。コート着てカッコつけた小学生にしか見えない。カワイイのである。


 そんな再寧さん相手にもちょっと引き気味っていうか。そういえば昔は『コミュ症』だったって言ってたっけ。


「まあ、そのまま肩の力を抜いて大丈夫です。最近この近辺で、このような男を見かけましたか?」

 再寧さんが出したのは男の人が写った写真だ。似顔絵やモンタージュ写真ではない、明確な一人の人間。

「ん〜? アッチのアパート住んでるオッチャンじゃん。あ、私ゃ営業の仕事やっててね、ニートじゃないよ? そんで昼間もウロウロしてんだけど、その昼間もこの辺ウロウロしてんだよね、このオッチャン。おかげで顔覚えちった」

「ほほう。何か荷物とかは持っていました?」

「コンビニ弁当じゃね〜かな? 歩き方がヤな感じでさ、レジ袋ガサガサうるせーの」

「他に何か変わった事とかは?」

「ん〜、ないね。ムサいオッサン、以上です」

「ご協力、ありがとうございました」

 スゴイテンポで事情聴取が終わってしまった。ていうかただのご近所さんトークだ。


「んで? そっちの双子はソワソワして何か用かな?」

「はぐっ!」

「ホラ、わかりやすいって言われてるわよ」

 そうだよな〜、僕だよな〜!

「あっ、そのちょうど、聞きたい事があったんです。あっ、ええと……」

「……バツが悪いのなら、これで失礼するが」

「あっ、いや再寧さんもいて欲しいな〜っていうか、聞いて欲しいな〜って……」

「え〜?」

「お巡りさん残しとく必要あるんかね〜?」

 なんでこんな嫌がられるんだろうか……!


 しかし僕は真剣だ。気になる事がある。ネルお姉さんについて。

「……あの、ネルお姉さん」

「はいはい?」

「僕ら……双子で、ちょっと気になる事がありまして。初めてお会いした時、僕に見せて頂いた手品。あれをもう一度、できればワンランク上のスキルとして、ちゃんと見たくって」


 『スキル』。敢えてそう言い表したのはワザとだ。


 僕はネルお姉さんが『リンカー能力者』なんじゃないかと考えた。くるみさんの『アメを作る』能力を見て、ネルお姉さんの手品を思い出したのだ。


 もし違ったらただの手品でいい。けどリンカー能力者ならこのニュアンスで伝わる筈だ。鎌をかけたのだ。


「お姉ちゃん、だっけか? そっちにも見せたい……だなんて、建前はナシだよね〜?」

「え?」

だろ? も〜タマちゃん回りくどいんだから〜」

 リンカー能力者か!? この反応は、言い回しは!

「聞いて驚くなよ。私の能力はね……」

 ゴ……ゴクリ……。


 ネルお姉さんが徐ろに、懐から何かを取り出す。

「え?」

 水筒だった。コツンと音を鳴らしてベンチに置く。腕をベンチと垂直に、手のひらを上から押し付けると──水筒が手の中に消えていく。

「……?」

「タラララララ〜♪」


 一見すると不思議な光景だった。まるでシャッターを閉めるかのように、あるいは子ども向けおもちゃのラクガキボードでスライド消去したかのように。水筒がスルリと消えてしまったのだ。

 続けて腕をあげ水筒出現。今度はベンチと腕を直角に、同じようにして水筒を消去、出現。さらに両手で水筒を挟んで同じく消えて出て。


「なんと手で挟むと物を隠せるのだ〜!」

 ただの手品だーっ!

「どうしたよホラホラー。お姉さんこのスキルで宴会芸やってんだぞー。あ、文化祭でマジックやらん?」

「いらない」

「あっ、遠慮しておきます……」

 やるとしても1年近く後の話だ……!


 しかも困った事にこれのトリックを僕は分かっている。腕で隠して見えないようにするだけ。こないだは分からなかっただけに、酷い。各方面にムダな時間を与えてしまった……!


「しかしまあ、何かと思えばそんな事だったか」

 再寧さんが僕とヒカリの襟を掴んで引く。肩上げてちょっとキツそうだ。

「あっ、あの再寧さんこれは……」

「分かってる。つまりはこちらの方が、リンカー能力者じゃないかと思ってるのだろう?」

「あっ、ハイ」

「こんな事しなくたって、別に──」

 再寧さんの傍らに人型のビジョンが現れる。『トータルリコール』だ。

 その射影機のディティールがあしらわれたリンカーが、拳を握ってそれを、なんとネルお姉さんに向け──!?


「──これでいい」


 ピタリ。眼前で、止められた。


「なにずっとコソコソしてんのー? お姉さんに惚れ込んじゃったかい?」


 目の前に拳があるというのに、ネルお姉さんはのようにリアクションがない。んだ、それが。リンカーは通常、リンカー能力者にしか見えない。『ヒカリ』のように特殊な存在でないのなら。

 ネルお姉さんは日常側の人間だ、完璧に。


「……ま、細目で視線が分かりにくいがな」

 再寧さんは『トータルリコール』を下げた。


 何事も無かったかのように、ネルお姉さんは水筒を開けフタに注いでいる。味噌汁、かな?

「それでは以上、丹羽 ネルのマジックショーでした〜! お布施は余りのお味噌汁となっております〜」

「お布施って、誰も亡くなってませんよ……。あっ、頂きます」

「私にもちょうだい」

「ちゃっかりしてんね〜」

「再寧さんも……」

 振り返ると、

ネル?」

「……再寧さん?」


 再寧さんが、瞳孔を開いてネルお姉さんに視線を向けていた。

 より正確に言えば、その顔をずぅっと見つめていた。信じられないものを見るかのように、唇を震わせて。


「どしたお巡り少女? 具合悪いの? 二日酔いならコレちょーどいいよー」

「……いえ、結構です。ありがとうございました」

 目を伏せて、踵を返して。再寧さんは走って行ってしまう……。


「再寧さん!」

「余り頂くから。ズッ。ご馳走さま」

「ちゃっかりしてんね〜」


 当然、僕は追いかける。運動能力は確実に僕が大きく劣っているであろう。

 にもかかわらず簡単に追いつけた。競歩ほどの速さで力無く走る再寧さんの手を取り止める。


「なっ!? 離せ何のつもりだ!?」

「分かりやすすぎますよ、どうしたんですか!?」

「何が!」

「いやえとこの期に及んでそれは……!」

「ストップ。二人して突沸しすぎ、頭冷やしなさい」


 追ってきたヒカリに止められてしまった。実際そうだ、僕は自分の理解ばかりが先走ってしまっていた。

 一呼吸し、再寧さんに向き合う。


「……再寧さん。丹羽 ネルという名前がどうしたんですか」

「どうもしない、関係ないだろう」

「嫌いなものは言わないんですね。それに悩みを抱えた人が目の前にいる。それだけで関係あります」

「……意外だな。タマキさん、結構イヤミなこと言うタイプなんだな」

「最近はしょっちゅうですよ」


 僕があまりにヤなヤツを演じたからか、再寧さんはため息ついて観念したようだ。

 視線を落とし、話し始める──。


「──私が」


 *


 15年前、小学5年生の頃。

 一人の友達と一緒に帰っていた時の事だ。

 その友達の名前は『丹羽たんば ニル』。先ほどのネルさんの妹だ。


「華蓮って、将来なにになりたいとかある?」

「アイドル! 中学のうちに事務所応募して、高校にはレギュラー番組貰って。で、二十五には結婚!」

「伝説すぎー!」

「ニルは?」

「あたしゃ警察! したらお前んトコのコンサートで警備員やってやんよ〜」

「私は好きなんだ、キラッキラの世界が! すぐにでも大スターになってやるよ〜」

「「あっはっはっはっ!!」」


 私が小学生の頃、男子から嫌がらせされていた時期があった。『チビのクセに生意気』とか言ってな。あの頃から私は意地っ張りだったからな。その時助けてくれたのがニルだった。


 背が高くて、わんぱくで、真っ直ぐで、正義感が強くて。そんなニルが警察になりたいと言うのも納得だった。

 ニルは私のヒーローだった。


「おっ、不審者ハッケン!」

「えぇっ? あのオッサンがどうかしたの?」

「そりゃ強盗だよ強盗! あんなコソコソしてんだ、間違いないね〜」


 ソイツは確かに挙動不審だった。思い詰めた顔で、ジャンパーの内ポケットを隠すようにして身を寄せていた。

 こんな閑静な住宅街で人目を気にしてるのか? それこそ警察に問い詰められそうなぐらいだ。


「私が引きつける。華蓮は近所のお巡りさんでも呼んどいて!」

「えっ!? ちょ、ちょっとぉ!?」


 ニルは私の静止も聞かず、無鉄砲に行ってしまった。私は怖くなって、すぐに近くの交番に駆け込んで事情を説明したよ。


 不審者を撃退せんと向かったニル。

 結果は──成功だった。


 ニルは不審者を現行犯逮捕した。低学年の女の子を誘拐しようとした時、スキをついて飛び蹴りして気絶させたとかってな。警察が駆けつけたちょうど直前だったそうだ。

 もちろん、こっぴどく叱られたがな。私も巻き添えで。


 そんな子供にとっての大事件を起こしたにもかかわらず、私たちは図太く笑い合って帰り道を歩いた。


「ホントに怖かったんだからねー! ニルがどうにかされちゃうかと思った!」

「ならんならん! あたしゃ将来有望の正義の味方よー? こんなトコで人生終了しないわ!」

「あっははーっ! 今日で完全に証明されたね! こりゃ私の警備も任せられるわ!」

「任せなって! 約束だかんな!」

「うん!」

 ……ブウゥ……

「約束だよ──」

 ゴオォーッ!!


 ──ニルが交差点のはるか横に吹き飛んだ。


「…………え?」


 目の前には軽自動車。はるか先にニル。ニルはぐったり仰向けに倒れて、赤いものがニルから広がっていた。

 運転手は──そいつは、ついさっき警察に連行された筈の不審者だった。


「ナメやがってよぉぉぉぉクソガキがぁぁぁぁぁぁ!! 大人を怒らせるからこうなるんだぜぇぇぇぇぇぇぇ!! 悪いのはお前だ、オレは正しい事やってやったんだぁっ!!」

「──ふざけんなぁぁ!!」


 すぐに警察が追ってきて犯人を取り押さえた。

 私はそいつを引き裂いてやりたかった。

 けどたった一人の小さな警察が私を抱きしめて止めた。

 ニルだった筈のものに一人の女の人がふらふらと近づくのが見えた。

 女の人はニルだった筈のものの前で力なくヒザをついた。

 女の人は全身が震えていた。

 女の人はニルと同じ桃色がかった髪を掻き毟っていた。

 女の人がニルから聞いていたお姉さんだとようやく気づいた。


 不審者の名は長良山 大孝ながらやま ひろたか

 元々あった不審者目撃情報とも一致していた。


 長良山は緊急逮捕され、起訴はなく、懲役10年。計画的犯行と、理不尽極まりない明らかな悪意としてな。


 正直、その時の私にヤツの罪状なんてどうでもよかった。復讐しようにも目の前ですぐ逮捕されたし、何よりご遺族が──すぐ近くにいたネルさんが慟哭していたというのに、タダの友達の一人でしかない私が、目の前で取りこぼした私が憎悪に駆られるだなんて、そんな資格はないと思った。

 だから──


「……私が好きなのは、亡き友達の願いを背負う宿命の展開。私が守るよ、ニル。お前が守りたかったこの街を──」


 私にできる懺悔は、その『願い』を継ぐことだ。そう考えた──


 *


「話は以上だ。キリがいいだろう、早く帰ってゆっくりしていいんじゃないか?」


 再寧さんの話を聞いた僕は、言葉に迷ってしまっていた。

 聞いてしまった事も確かにある。それは深入りし過ぎたとして反省すべきだろう。けど、聞かせてくれた再寧さんに対してそれは適当じゃない。


「あっ、その。それで言うと一つ、気になった事が……」

 なんて言いながら再寧さんのマネで人差し指をピンと立ててみたり。

「まだ何か?」

「あっ、今の話だと、目指すキッカケは教えて頂きました、ありがとうございます。けど一個、別のキッカケが欠けてるかなって……」

「……別の?」


 一番気になってる事だ。こうして再寧さんと話をしようと思った理由だ。

 僕は唇を噛んで話を切り出す。


「……再寧さんが『超克の教団』を追う理由が、キッカケが、強く願う理由があるんじゃないかって。『トータルリコール』を、再寧さん自身の願いにしてリンカー能力は何か、別のものがあるんじゃないかって、そう思いました、ハイ」

 上手く、言葉にできなかった。つまり、今の話で再寧さんのリンカー『トータルリコール』が発現したように思えなかったという事だ。

 けれど、そのニュアンスは再寧さんに伝わったらしい。いや、伝わって

「……それは──」


 ガァンッ!!


 声が遮られた。鉄筋を打ちつけたような轟音だ。

 近くで工事でもしているのか? そんな呑気な感想はまず出てこない。打ちつける音は繰り返し響き、不気味な音楽となっているからだ。

 音は近くの4階建てマンション方向からだった、あそこは工事なんかしてない。さっき再寧さんの事情聴取でも話題に挙がった場所──!


「すぐに帰るんだぞ、いいなっ!」

 さっきと打って変わって素早く移動する再寧さん!

 胸騒ぎがする、すぐに追いかける僕ら。というすぐ行かないと置いてかれそうだ!

「帰れと言ったろう!」

「そうは言われましても!」


 現場は早く着いた、場所も分かっていたから尚更だ。

 あれほどの騒音、事が動くのも早かった。上空に一人の女性が飛び出したのだ。深里さんだ!

「ナメる……なァっ!!」

 深里さんが自身の体を撫で回したかと思えば、空中で身を翻してきりもみ回転した!


 深里さんのリンカー能力! 確か『コッペリア』とかいう『糸で物質を操る』能力だ! それを自身に発動して操ってるのか!


 しかし最大の異変は、既に深里さんがボロボロの状態にあった事だ。

 全身の至る所に、あれは金属か? それが穿たれ血を流している!

 そんな状態の深里さんが、地面に不時着したのだ!


「深里!」

 あの人にはイヤミな言い方を散々された、けど黙ってられるものか!

 僕も慌てて駆け寄る!


「逃げろ華蓮先輩っ!! リンカー能力が来るぅっ!!」

 叫ぶ深里さん!


 僕は気づいた。上空の光に。その反射に。

 小さいけど判った。あれはネジだ。それとトンカチに、鉄パイプ。ドンドン飛来してくる。


 そう、それらがまさに、磁力に引かれるようにして、僕らへ飛んでくるのだ──!

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