第6話

純は緊張しつつ、正座したままベットに寝ている女性に声を掛けた。

「あのぅ…あのぅ!!」

純の呼び掛けに二度寝していた女性がう〜んと目を覚まし欠伸をしながら上半身を起こした。

「あのぅ、一体あなたはどちら様でしょうか?俺、

 何も覚えてなくて…」

赤い顔してタドタドしく聞いてきた純に純女性は、覚えてないと聞いた途端急に何やら不敵な笑みを浮かべ

「んぁ、あたしぃ!?あたしは昨日酔った純を介抱

 したんだよぅ。それを覚えてないなんて酷くない

 かい?あんなに手取り足取り一生懸命介抱してあ

 げたのにぃ」

「えっ、昨日って…介抱!?」

「そうだよ、純ったら部屋まで連れて帰ったら玄関

 で寝ちゃってさぁ。ベットまで運ぶの大変だった

 んだから。やっとこさベットに寝かせたと思った

 ら、いきなりあたしの身体を押し倒してきて…」

衝撃的な爆弾発言に純の頭からサーっと血の気が引き、今度は変な汗が全身から出てくる。そんな純に追い討ちをかける様に女性は恥ずかしそうに頬を赤らめ、シーツにやや顔を隠しながらこう言った。

「もう、純ったら大人しそうな顔のくせに大胆で激

 しいのねぇ…」


どうしよう…俺って奴は酔ってて何も覚えてない事をいい事になんて事をしでかしたんだろう!?この場合どうしたらいいんだ?どうやって責任を取れば良いんだろうか!?一体どうすれば…


滝の様にドバドバと汗を垂れ流し、顔面蒼白のままどうやって相手の女性に対して責任を取れば良いのやらと頭を抱えブツブツ独り言を言い続けている純の様子を黙って観察していた女性は、もう我慢できん!!とばかりにいきなりプハッと吹き出したかとおもうと腹を押さえて大爆笑した。

「アッハハハ、ウハハ、あーおっかしぃ〜!!嘘だ

 よっウ・ソ。よく見てみぃ、アンタちゃんと自分

 の服着てんでしょうが。それなのにちょっとから

 かっただけで、あんなに動揺したかと思えば今度

 は深刻な顔しちゃってさぁ。見てるコッチは笑い

 堪えるのに必死で…。」

「えっ、うそ!?」

「アンタすっごく面白い奴だね。ちょっとした冗談

 なのに真に受けて赤くなったり青くなったり。本

 気で狼狽えちゃって、お前はリトマス試験紙かっ

 つーの!!ウッププ、は、腹痛てぇ〜!!」

「じょ、冗談!?」

「でもアンタを介抱したのは本当だよ。街中ウロウ

 ロしてたらビルとの間に酔っ払って座り込んでた

 純を見つけてさ、声掛けても動かないから変なの

 に声掛けちまったなぁって後悔したんだけど、声

 掛けたのはあたしの方だしそのまま放ったらかし

 て見捨てるのも後味悪くて嫌じゃん?だから仕方

 なしに無理矢理立たせて大変だったんだよ。」

笑いながら話す女性の顔をまともに見れず、俯いたまま純はまたも赤面した。


うわぁ〜俺、全然覚えてないや…。すげぇ恥ずかしー!!今すぐにでも自分で穴を掘って入りたい…












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