第7話 休日
「んーー今何時だ……」
あの白熱した練習試合から一日。
部活も学校もない日曜日だった。
だから、思っきり睡眠をとったのだが、もしかすると今はおはようの時間ではないのかもしれない。
寝ぼけながらも見慣れたキレイな天井と見つめ合っていた。
すると、視界に見慣れた顔が現れた。
「あ、明斗君おはよー」
「おはよ…今、何時?」
「今?今は…11時だね」
「oh」
遅めの時間帯での起床ではあったが
ギリギリおはようの時間だった。
「俺、何時間寝たんだ?」
「12時間ぐらいじゃない?」
「俺、半日も寝たんだ…」
ほぼ気絶に等しいんじゃないか…?
「ほら、ベッドから出て出て、朝ごはn…じゃなくて昼ごはん食べよ」
「はーい」
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半日ぶりの食事に勤しんでいると、珍しく紗希は静かだった。いつもならば、俺に甘えてくるかずっと話そうとしてくるのに。
考え事をしているようだけど、何かあったのかな。
少し心配になるが、箸を動かす手が止まらないので、仕方なく少し静観することにする。
飯が美味すぎるのが悪いんだよ。
ご飯を食べ終え、皿洗いを二人でしているときもなにか考え事をしているようだった。
それからも様子はあまり変わらなかった。
恐る恐る声をかけることにした。
「今日…調子悪い?」
「ん?…あっ、いや元気だよ!」
少し反応が遅れたが笑顔で返してくれたが、いつもよりか元気がないのは確かだ。
「いや…いつもより、元気ないけど…」
「そ、そんなことは」
「熱でもあるんじゃないか」
俺の額を紗希の額に当てる。
ぶっちゃけ熱があるのか細かくは分からんがやってみたかったという下心によるものだ。
「えっ!?…ちょっと………」
「多分、熱はないな…」
「あるよ…」
「はい?」
「だから、あるって!」
「じゃあ、体温計持ってくるよ」
「違う!そういうことじゃない!」
「?」
「ちょっとね、明斗くんが、起きたとき…その…見ちゃって…」
「何を?」
「その……ねぇ…」
紗希の視線が俺の下半身へと向かっている。
「あ」
分かってしまった。
世の男性はよくしていることであろう、朝起きたときに自分の中の漢の部分が覚醒するということを。
それを運悪く、紗希は見てしまったということだ。
「あ、あの…それは…そのちがくて…」
「明斗くんの、服と掛け布団越しでも凄く大きいって分かるぐらい…すごかったよ…私もいつか…あれが…」
と言いながらお腹をさする紗希。
「おい」
ここらでやめておけ、まだ朝…じゃなくて昼時だぞ?日はまだまだ高い。
「あ、ああ!ごめんね、見るつもりはなかったんだけど…」
「別にいいよ、寝てるときに無意識下で起こってしまうことだから、どうしょうもないし」
「寝てるとき…無意識下……ほほう?」
なんか不穏な笑みを浮かべる紗希。
知らぬ間に父親になるとか言うオチだけは嫌だぞ?
お願いだから止めてくれよ?本当にお願い。
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最近私は彼に依存していると思う。
前からと言われればそうだが、さらに彼の事しか考えられなくなるほどに重くなってきている。
私の愛は重いし、依存という以上の言葉が必要になるくらいだ。
それでも彼は…明斗君は私を受け入れ、笑ってくれる。
私が悪いことをしたり、やらかした時以外は怒らない。
そして、私は彼に惚れて依存の沼にもっとハマっていく。
もう彼なしでは生きていけない。
私の視界に彼がいないと落ち着かない。
彼を見ていると体が火照ってくる。
自然を体が彼を求めているのかもしれない。
細胞レベルで私は彼に恋をしている。
❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇
紗希と一緒にテレビを観ていた。
勿論、二人の間の距離は限りなくゼロ、密着している。
最初は俺が一人でソファに座って観ていたが、紗希が隣に座って、密着してきた。
右手で彼女の肩を優しく抱き、さらにこちらに密着する。
うわぁ…柔らけぇ…。
俺の脳みそはテレビを観ているどころ話ではなかった。
隣にいる彼女の体温、感触、匂いから一つ一つの表情の動き、全てが俺の脳を刺激する。
やばい、眠っているはずの漢が覚醒しようとしている。
やばい…やばいやばい………
ピンポーン
俺の漢は、このインターホンの音で静まった。
ふぅ…命拾いしたな…
「俺が出るよ」
そう紗希に言って、リビングの入り口付近に取り付けられているモニターで誰か確認する。
そこには……
「は?」
俺の母親と父親が映っていた。
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