AI相性診断の結果、ルームシェアをすることになった学園の高嶺の花は、俺の前でだけ健気で可愛いので、いつの間にか甘くて幸せな日々が始まりました。

空豆 空(そらまめくう)

第1話 AIが導き出した相手とルームシェアをすることになった!

 今日は新年初めの登校日。俺は緊張していた。なぜなら、全寮制のこの学園で、新しい取り組みが適用される日だからだ。


 その取り組みというのは……AIが導き出した学園内の相性のいい男女で、ルームシェアをすること。それによって結婚の疑似体験をして、将来に備えるという狙いがある。


 こんなふざけた取り組み、反対意見が出そうなものだが、少子化対策をしたい政府、子供の良縁を望む親世代、恋人が欲しい奥手な学生たち、そして、話題性と生徒が欲しい学園……と、いろいろな層から支持を受け、試験適用されることとなった。


 この取り組みの肝は、ルームシェアの相手をAIが相性診断をして導き出すという点。


 だから俺――遠坂とおさか たくみとその幼馴染み、桑田くわた 隆元りゅうげんは、期待に胸を膨らませていた。


 俺も隆元も、何度も自分のスマホのAIアプリで相性診断をしたのだ。


 その結果、俺の相手はきっと俺の好きな子、浅丘あさおか 弥生やよいで、隆元の相手はこの学園の高嶺の花、深山みやま すみれになるだろうと予想していた。


 けれど、学園のAIが導き出した相手は――


 俺の相手が深山 すみれで、隆元の相手が浅丘 弥生。


 俺たちの予想の真逆だったのだ。


「え、マジ? そんな事って……ある?」


「なあ、匠。俺の相手と匠の相手、交換しない?」


「いや、さすがに俺たちの独断でそれは……無理だろ」


 そうして俺たちの思惑が外れた相手とのルームシェア生活がスタートすることになったのだが。


 この時の俺は、想像すらしていなかった。まさかこの後、俺にだけ健気で可愛い高嶺の花と、甘くて幸せなルームシェア生活を送ることになるなんて――。

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