第2話 神崎翼と桃花実希
恋人を作る絶対恋人を作る恋人がほしい。
メラメラと闘志を燃やす俺の名前は、
こんなに、こんなに合コンとは色々な力を使うものだったか。
恐らく、いいや、確実に、目の前に座る女性、
俺と同じく、必死さがほとばしっている。
外見からして、全部が全部に金を、時間をかけて整えている作っている。
全部が全部、テカテカしているもの。
いやでも、合コンってそもそも、そうだろう。
恋人を作るために催されるパーチーだろう。
気合入れて参加するものだろうオールバックにするものだろう俺も桃花実希もしちゃってるよオールバック。
なのに、桃花実希以外の二人の女性は、絶対に恋人を作るために来ていない。
数合わせで渋々参加しているのが、丸見えだ。
かくいう、俺以外の二人の男性、仙涯実と
いいないいななにあれうらやましい。
俺と桃花実希みたいに、心身に力が入ってなくて、終始リラックスしてさあ。
ぽやぽやぽやぽや、小花を舞い上がらせては、ぽぽぽぽぽぽぽぽって、開花させているし。
なんか、なんかさ、癒される。見ているだけで、癒される。
そうだよな。あれが、合コンの醍醐味だよな。
楽しむもんだよなあ。
癒されるもんだよなあ。
きゃっきゃきゃっきゃうふふふふふってさあ。
こんなさあ。
血管を浮き立たせてさあ。
会話を途切れさせないようにってさあ、楽しませようってさあ、料理とか飲み物とか不足がないようにってさあ、必死に脳も身体も超回転させてさあ。
疲れるよ疲れちまうよ。
しかも、どっか、桃花実希と張り合うような言動を取っちゃってるしさあ。
どっちがより目の前の相手に勝る言動を取れるかってさあ。
ばっかじゃない俺たちばっかだろ。
「あのさ。恋人になるかどうかとかとりあえず置いといて、二人で飲み直さね?」
「うん。いいよ」
先に合コンから抜けた仙涯実と丹賀歩を快く見送った四人で、ゆっくりじっくりしんみりしみじみゆったり飲んで食べてしゃべって迎えた朝方。
解散の流れとなったわけだが、まだ飲み足りなかった俺は桃花実希を誘った。
言葉の通り、とりあえず今は、恋人云々は置いといて、この久しく訪れたゆったりした時間をまだ続けさせたかったのだ。
「どこ行く?」
「う~ん。じゃあ。ルーレットで決めね」
「うん」
俺と桃花実希は力なく笑った。
いい意味で、だらしない笑みだった。
(2024.1.3)
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