エピローグ






「柳田君、柳田君」


ジェニーは従業員の名前を呼びながら、旧車のエンジンルームに顔を突っ込んでいた。


「社長、ちょっとこっちも手を離せないです」


ジェニーは手を伸ばして傍に置いた工具台からスパナを取る。


「多分、これを締めると直る筈…」


そう言うとエンジンルームから顔を出し、運転席に身体を半分入れた。

そしてキーを回すとチチとセルが回り始め、エンジンがかかった。

しばらくぶりに命を吹き返したエンジンは、白い煙を上げながら快調に吹き上がっていた。


ジェニーは満足そうに運転席を出て、ボンネットを開けた車の前に回った。

そして満足そうに息を吹き返したエンジンを見ると、タバコを咥えて火をつける。


「これも、交換かな…」


ジェニーがエンジンルームをまた覗き込む。


その後ろに岸田一平がナイフを持って立っていた。


「やっぱり交換だな…」


ジェニーが咥えタバコでそう呟いた瞬間、背中に激痛が走り、顔を歪めて膝を折った。

そして、目の前が真っ暗になった。 







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西の空に光の線が走った日 - 四十歳の青春 - 星賀 勇一郎 @hoshikau16

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