第17話:博士の決断。
グローバル社から
生活していた。
とある日、ふたりは博士から呼び出された。
「さて、これからどうしたもんかな」
「僕はまた学生に戻ります」
「できるものなら、また博士の下で研究を続けたいと思ってます・・・」
「そうか、そうしたければそうしたまえ」
「だが、わしはもう引退するよ」
「今回のことで、よ〜く分かった・・・」
「自分の欲望を満たすために君を含め多くの人に迷惑をかけることになった」
「人としてもモラルを欠いた行動だった」
「じゃ〜彩葉はどうなるんですか?」
「彩葉の育成はこの研究所の次世代に受け継がれて行くんですか?」
彩葉は不安そうな顔で弟と博士の顔を交互に見ていた。
「いや、それももうよかろう」
「彩葉はモルモットじゃない・・・れっきとした人間なんだよ、
「それは彩葉にもっとも身近な君がよ〜く分かってるだろう?」
「彩葉には自由にさせてやりたい」
「わしはね、彩葉は、彩葉自身がもっとも好きな人と一緒にいるのが一番いい
と思ってるんだよ 」
「わしは君と彩葉が過ごした一年間を見てきた」
「彩葉は
「今度は一年とは言わん」
「君たちの納得がいくまで一緒にいればいい・・・」
「本人がいる前でなんだが正直、今の段階では彩葉はいつまで生きるか
分からん・・・」
「なんせバイオロイドが成功した前例がないからな」
「もしかしたら人間と同じ平均寿命まで生きるかもしれない・・・」
「それは分からんのだよ」
「それでも・・・彩葉を引き受けてくれるかね」
「もちろんです」
彩葉は思わず、弟に抱きついた。
「
「嬉しい・・・」
「分かった、分かったから・・・」
「博士、僕はイロハを心から愛しています」
「彩葉だって僕を・・・」
「たとえ、この先彩葉がどうなろうと僕は研究を続けて必ず彼女を守って
みせます」
彩葉は博士のほうを見てうなずいた。
「決まりだな」
「彩葉を連れて帰ってよし」
「大学にはわしから、すべて話す・・・分かってくれるだろう」
「それから、今住んでるマンションは引き払わなくていいからな」
「あのマンションは私の持ち物だ」
「ふたりが独り立ちできるまで使ってくれていい」
「もちろん家賃をくれとは言わんからな」
「彩葉・・・」
「僕は君のことを半ば、あきらめていたんだ」
「でも、僕たちが望む一番いい結果になった」
「怖い目にもあったけど、これでよかったよな・・・」
彩葉は潤んだ瞳でうなずいた。
「
「あ〜こんなところで、いちゃいちゃはやめてくれ」
「最近の若い者は人目をはばからんからいかん」
「恥じらいというものを知りなさい」
「わしは帰るぞ」
「おまえらのラブシーンなんぞ見たくないからな」
「冗談だってば・・・博士、真に受けて」
彩葉は博士を指差して腹を抱えて笑った。
「人に指を指すんじゃない」
「そんな冗談までできるようになったのか・・・」
「歳寄りをからかいおって」
つづく。
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