第15話:逃亡。

「彩葉、こっちこんな格好してるけど永遠ねえさんだよ、君の救出を

手伝ってもらった」


「私、ムーンナイトよろしくね」


「永遠ねえさん?」

「わ〜すご〜い、めちゃカッコいいです〜」


「ありがとう・・・カッコ可愛いでしょ・・さ、引き上げましょ?」

「悠長にしてられないわよ、すぐ逃げないとすぐバレるよ」


杜守もりすたちは来たルートを戻っていった。


「彩葉、僕から離れないようにね」


「うん」


すると兄からから連絡が入った。


「そろそろサーバーが復活するぞよ、気をつけろよ」


と同時にエレベーターが降りる途中で警報がなり始めた。


「やばいね・・・5分経たないうちに警備員がくるわよ」


エレベーターは地上1回まで一気に下りていった。

ドアが開くと当然、警備員が押し寄せてくるものと思っていた。

すると表玄関のあたりに警備員が、すでに5人倒れていた。


「片付けといたぜ」


兄が警備員を先に倒してくれてたみたいだった。


「ごめんね、ありがとうね」


「え?兄さん、ひとりで5人倒したの?」


「10人いたって軽いもんさ」


「警備員なんて言っても名ばかりで、所詮は素人どうってことない」

「さ、次が来ないうちに逃げるぞ」


彩葉は兄に軽く会釈した。


「可愛い彼女だな、杜守、女のセンスはいいな、おまえ」

「彩葉ちゃん自己紹介は後でな」

「車、横付けにしてあるから、すぐに乗れ」


玄関を出ると入り口の前に黒い車が止まっていた。


「ふたるとも早く乗って」


「さ、帰るぞ・・・・・・ライトを消して暗闇に紛れて撤収だ・・・

研究所まで一気に飛ばすぞ」


「黒いクルマで来て正解だな」

「でも俺はもっと苦労すると思ってたんだが案外あさりと救出できたな」

「彩葉の為に傭兵を用意するのが間に合わなかったんじゃないかな?」


「そうかも・・・いいよ彩葉を救出できたんだから」


弟は彩葉を助け出せたことでホッと胸をなでおろした。


僕は後ろを確認したが車のライトも見えないし追っ手が来る気配もなかった。

だが追ってこないことが逆に不気味だった。

もしかしたら彩葉救出を予測して僕たちを泳がせておいて何か企んでる

んじゃないのか・・・。


「僕はまだ、ドキドキしてるよ、彩葉」


杜守もりす・・・ありがとう、もう離さないで」


「彩葉・・・もう離さないからね」


「ラブシーンは後でゆっくりやれ・・・まだ終わったわけじゃないぞ」


「ムーーナイト・・・サンキュー・・・世話になったな」


「永遠さん・・・ムーンナイトありがとうございました」


「どうしたしまして彩葉ちゃん」


「ムーンナイトは彩葉の救出を手伝ってくれた命の恩人だね」


「おい、俺もいるんだぞ・・・忘れてくれるなよ」


そう言って兄は笑った。


今頃は彩葉が奪還されたことはグローバルの社長にも伝わってるだろう。

彩葉をまた取り戻しに来るかも知れない。


とりあえず逃げるしかない。

俺たちは、そのまま僕大学の研究所まで突っ走った。


つづく。


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