第14話:救出。
「どうせあの会社は長くは持たねえ、その前におまえの彼女を取り戻すぞ」
「兄さん、知ってたの?永遠ねえさんがムーンナイトだってこと」
「昔からな・・・刑事と泥棒ってナイスな取り合えせだろ?」
「びっくりだよ・・・ありえないでしょ」
「俺たちのやってることは法律に触れることだがそれは必要悪なんだよ」
「法律だけじゃ、表向きだけじゃどうにもならないことあるんだよ」
「不条理なが、まことしやかにまかり通ってるって許せないだろ?」
「そうなんだ・・・たしかにね理屈だね」
「ムーンナイトにビルのサーバーに侵入してセキュリティーを解除してもらう」
「その間におまえの彼女を助け出す・・・そう言う段取りだ」
僕と兄とムーンナイトはクライム・グローバルのビルに向かった。
ムーンナイトはノートパソコンでなにやらカチャカチャやっていた。
「どうだ・・・やれそうか?・・」
「大丈夫・・・軽いもんね・・・サーバー乗っ取っとるのなんて」
「セキュリティは解除できそうだ・・・サーバを乗っ取ってしまえば
こっちのもんだからな」
「でも時間の余裕は15分しかないわよ」
「サーバーは15分経ったら外部からの侵入を察知して自動修復がはじまるから」
一度修復が終わったらセキュリティーのパスがランダムに変わっていくからね
そうなるとちょっとやっかい」
「15分で
「分かった・・・さっさと済ませるぞ」
僕らがビルに到着するとグローバル社は何も変わった様子もなく表玄関には
ガードマンすらいなかった。
「思ったより警戒が厳しくないな・・・取り戻しにくるとは思ってないのかもな」
「俺たちは堂々と表から入るぞ」
「
「中には私と杜守で行く」
「なんでよ・・・」
「こういう忍び込むのは私のほうが得意だから・・・」
「セキュリティーが復活しそうになったら私たちに知らせて」
「かならず
「分かった、気を付けろよ」
「これ、インカム・・・ふたりとももって行け」
表玄関は一応はロックがかかって入れないようになっていたが
ムーンナイトのおかげで、ふたりは難なくビルに侵入できたようだ。
「杜守はあなたは彩葉ちゃんの居所を探して」
すぐに
「やっぱり思った通り、このビルのどこかだな・・・」
「50回の西の部屋あたり・・・」
ビルの中は社員全員退社していて誰もいなかった。
ガードマンもおそらく30分に一回くらいしか見回りに来ないだろう。
銀行や軍の施設と違って防衛という点ではこのビルは隙だらけだった。
「エレベーターで一気に50回まであがるよ」
「
「ちょっと待て・・・エレベーターだと?」
「え〜ともしかしてコレか?」
止まっていたエレベーターが動き出した。
「なるべくこれは使わないように、速やかに行こうせね」
ムーンナイトは、いつの間にかピストルを持っていた。
弟とムーンナイトを乗せたエレベーターは一気にで50回まで登った。
廊下の様子を見ながらエレベーターを降りるとまず彩葉のいる部屋を
ふたりは探した。
「彩葉のいる部屋は5007・・・5008・・・もっと向こうの部屋だと思う」
各部屋を通り過ぎていくとスマホのグリーン色の点滅が早くなってきた。
「その廊下の角を左に曲がったあたりみたいだ・・・」
「杜守はここにいて、私が様子を見て来る」
そう言ってムーンナイトは角から頭を少し出して様子を伺った。
そして
部屋の前に椅子に座った見張りがふたりいた。
「間違いない・・・あそこね」
「見張りがふたりくらいなら、ちょろいもんたよ・・・一気にかたずけるそから」
あっと言う間にムーンナイトが飛び出した。
彼女の動きは尋常じゃなく早い。
不意を突かれた見張りは、電撃棒を構える暇もなくムーンナイトに強烈なキック
を喰らって倒された。
ムーンナイトは普段からでもそんな場面はいやというほど経験してるのだろう。
部屋のドアを静かに開けたムーンナイトはピストルを構えてこっそり忍び込んだ。
「手足を縛られてソファに寝かされた白い髪の女がひとりいるけど」
「どうやら無事みたいね彩葉ちゃん」
「やっほ〜彩葉ちゃん、お迎えに来たよ」
「彩葉ちゃんの愛しい彼も一生だよ」
「彩葉!!・・・無事でよかった」
「すぐに縄を解くからね」
「
「もう大丈夫だよ・・・さあ帰ろう」
「たぶん、博士の持ってるデータが欲しいから彩葉は人質にするつもり
だったんだと思う」
って、そんな悠長なことを言ってる場合じゃなかった。
セキュリティーが元に戻るまで時間がない。
つづく。
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