第7話:自分の存在意義。

俺は弟から聞いていた「クライム・グローバル社」の件について調べてみた。

やはりクライムは裏で怪しいことをやってるブラック企業だった。


「おまえんとこの研究所に援助してるってクライム。グローバリって

企業だがな・・・めちゃ怪しいぞ 」


「いろんなことに手を出して、勢いに乗ってる会社らしいが 裏じゃ金の横流し

や、乗っ取り、人身売買、いろいろやってるって噂だ。

社長も脱税の疑いがかかってるってことらしいぜ」

「完全にブラックだな」


「そうなんだ・・・どっちにしてもそんな会社に彩葉は渡せないね」


「そうだな・・・近じか税務署が家宅捜査に乗り出すって話だぜ」

「叩けばいっぱいホコリが出そうだな・・・」

「クライム・グローバル、あの会社長く持たねえな」


「博士は、なにも言ってなかったけど?・・・」


「それはそっちで聞け・・・」

「こっちは、その会社について新しい情報が入ったらまた知らせてやるよ」

「気をつけろよ」

「何かあったら、すぐ連絡しろ・・・じゃあな」


俺の中で一抹の不安がよぎった。


でも、そんなこととは裏腹に弟と彩葉の生活はギクシャクしつつもなんとか

やっていた。

って言うか弟は少しづず彼女とコミュニケーションが取れるように

なって来たようだった。


そして彩葉は弟のことを「皆藤かいとうさん」から「杜守もりすさん」って呼ぶようになっていた。


ただ、ひとつ閉口したのは彩葉は料理がど下手だったことだらしい。

スマホでレシピを見ながら作ってるようだが、同じように作っても

出来上がりがまるで違う・・・これがマズくてって弟が愚痴っていた。


「ゆっくり覚えればでいいよ」


そう言うしかなかったみたいだ・・・可愛いもんだよそんなこと。

その点、永遠は天才的に料理が美味いよな。


ある日、彩葉は自分の存在に疑問を抱いた。


「私って、何者なんですか?」

「人の形してるけど人じゃないんでしょ?私、人って認められてないんですよね」


「そんなことないよ、君は人だよ、ちゃんと生きてるしそれに記念すべき

存在なんだよ」

「君は彩葉は世界でただひとりの存在なんだ」


「私の存在意義って?」


「博士の切なる願い・・・執念って言うか想いだろうね」


「なんで、私を生み出したりしたんでしょう?・・・」


「思い積めない方がいいよ、苦しくなるだけだからね」

「誰だって、自分は何のために生まれてきたんだろうって一度くらいは

考えるもんさ」

「人間も動物も意味があって生まれて来てるんだよ」

「きっと誰かのために生まれてきたんだと思う」


「でも、大事なのはなぜ生まれて来たか?じゃなくてどう生きるかって

ことだろ」


彩葉は自分が生まれた意味、その価値について心の葛藤がはじまった。

弟はいずれ彩葉にもそういう感情が訪れる日が来ると思っていたらしい・


彩葉はこれから、いろんな障害にブツかるたびに自分自身で乗り越えて

行くしかないのだ。


つづく。


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