第5話 こっち(過去)

それから俺はRANに連れられ、HAKIの家を訪れた。「お前、今までどこ行ってたんだよ!?」とHAKIに大きな声を出されてしまった。当然だ。俺が失踪したせいで、犯人は逃げた上、2人の証言への警察の信用はあやふやになってしまったのだから。「悪い、、、。」そう俺は返した。未来では、HAKIは名前の無い依頼事務所を開いていた。その目的はおそらくこの事件。俺がもう一度この事件について関わろうと思った理由は、それでもある。昨日の事件で俺が犯人を取り逃したせいで、HAKIは10年以上その事件を追い続ける。あんなクズのために、こいつの10年は使っちゃいけない。RANのためでもあるし、この事件を解決するまではあっち(現代)のもとの生活には戻れそうにないな。まああんな施設に戻るよりは、こいつらとあのクソ汚い殺人犯を追い詰めた方がよっぽど意味のある生活ができそうだから、いいんだけど。「ねえ。」1人で何かを考えていた俺に、RANが話しかけてきた。俺はRANを見て、「どうした?」と返した。「蓮くんは、ここにいるもんね?」と、不思議なことを言ってきた。きっと俺の存在について、警察が2人の勘違いだと言われたのを気にしているのだろう。俺は、「ああ。もういきなり消えたりしないさ。」とつぶやいた。

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