第2話この爆裂少女と縁切りを!!

「ま、待ってください!私は、爆裂魔法しか使えないせいでどのパーティからも断られてしまいあなた達しか残っていないのです!荷物持ちでもなんでもしますから!ほらこの通り、アークウィザードにして攻撃魔法の威力なら誰にも負けません!!」

それを聞いてアクアが首をかしげながら。

「あのねぇ。アークウィザードって高度な魔法を使える魔法使いってだけで別に最強職じゃないわよ?カズマみたいに変なスキルばっか取って肝心な物を忘れるような子もいる事だし」「おいこら、俺のスキルのチョイスを勝手に変な物扱いすんな。お前こそ変な回復スキルばっかり取って肝心な回復役がポンコツじゃねえか!」

「私は芸達者だからアークプリーストとしての力が封じられていても問題ないわ!今だってカズマに貰った宴会芸スキルでおひねり稼いでるじゃない」

そんな言い合いを始めた俺達にめぐみんは、おろおろしながら。

「わ、我が爆裂魔法を侮るなよ?そこら辺の魔法使いやアークウィザードと一緒にしてもらっては困りますよ!何ならその力の一端をお見せしましょう!」

そんな事を言ってめぐみんが杖を構え、何やら詠唱を始めた。

「この世に恵みをもたらす我が神々……。今こそ我が力を放ち、この世を荒らす魔王の手先を討ち滅ぼさん!!『エクスプロージョン』─ッ!!」

詠唱が終わると同時にめぐみんの杖から轟音が鳴り響き、空気が震えるほどの魔力の奔流が目の前で巻き起こると、めぐみんを中心に強烈な爆風が巻き起こり辺りに土煙が舞い上がったそしてめぐみんは、その場に倒れ込んだ。「よしじゃあ帰るか〜」俺は、土煙が晴れるのを待ってからそう言って、街に帰ろうとした。

「ねえちょっと待って!このまま帰っていいのかしら?置いてかれたらまたモンスターに食べられちゃうわよ!?」

そんなアクアの訴えに俺は。

「いやだって……あいつもうのびてるし……」

「いやー本当にすいません!まさかいきなり最強魔法が使えるなんて思ってもいなかったもので!多分魔力の使いすぎで倒れたんですね!」

街に向けて歩く中、めぐみんはそう言って俺にペコペコと頭を下げて来た。「ねえカズマ。めぐみんは爆裂魔法しか使えないんでしょう?それなら一緒に連れて帰ってあげましょうよ!」

「おい、こいつはこのまま放っておいて帰ろうぜ!変なのが付いて来たら厄介ごとが増えるに決まってる!いっそここで退治しといた方が……」

そんな俺達の言葉を聞きながらも、アクアに向けて必死に懇願するめぐみん。

「待ってください!先程のはちょっとした手違いです!私ほどのアークウィザードともなると最強魔法の一つや二つ使えて当たり前なのですよ!!今回はちょっと調子が悪かっただけなのです。それに私は、あなた達の役に立つ秘密兵器をたくさん持っています!まずはこれを見てください」

そんなめぐみんの言葉と共に、背負っていた袋の中身を見てみると。

「こっこれは!マナタイト!!それもこんなにたくさん!」

袋の中には大量のマナタイトが入っていた。

「どうです?これならもうしばらく冒険を続けることが出来ますよ?」

それを聞いてアクアが感心した様に頷きながら。

「ねえカズマさん見て見て、このマナタイトすごい高純度の物よ!一体いくらになるかしら!!」

そんなアクアの言葉を聞いてめぐみんが、ふふんと得意げに胸を張った。

「おっお前、最初からそれを出せば良かったじゃないか!なんでこんなにたくさんマナタイトがあるのにさっきみたいな事になるんだよ!」

俺の言葉にめぐみんはバツが悪そうに顔を伏せた。

「……そ、それはその……お恥ずかしい話なのですが……」

そんなめぐみんの言葉に俺はホッとため息を吐くと。「なるほどな!そりゃ駆け出しの街にいる魔法使いだもんな、さぞ強力でレアなスキルもいっぱいあるんだろう!例えばテレポートだとかライトニングだとか」というとめぐみんは、「いえ私は、爆裂魔法しか使えません」ゴミ魔法使いじゃねーか!!「なんでだよっ!!?さっきのと矛盾してんだろ!マナタイトがあるのに爆裂魔法しか使えないってなんだよ!!?」

俺の言葉にめぐみんが、胸を張って答えた。

「私は爆裂魔法しか愛せない体質なので!」

自信満々に言うめぐみんの言葉に俺とアクアは言葉を失った。「……お前もう帰れよ……」

「さて、改めて名乗りましょうか!我が名はめぐみん!アクセル随一の魔法使いにして爆裂魔法を操りし者!!」

俺の隣でポーズを決めるドヤ顔のめぐみんを見ながら「はぁ、お巡りさん」俺は、大声で叫んだ。

「ど、どうしてっ!どうしてこうなるのですか!?」

そんな俺の隣では、警察官に拘束されて泣きながら訴えるめぐみんの姿があった。

「お前のような危険な存在を街に入れる訳にはいかん!魔王軍に引き渡す前にここで退治してくれる!」

そんな警察官の言葉を聞いてめぐみんが涙ながらに訴える。

「お願いですっ!もう爆裂魔法を撃ちたいなんてワガママは言いませんから!!どうか私を見捨てないでくださいっ!!」

そんな悲痛な訴えをするめぐみんを横目に、俺はバツが悪そうに頭を搔いた。

「爆裂魔法しか使えない子なんですっ!」

めぐみんは泣きながらも必死に訴えかけるが警察官は聞く耳を持たない。

「あのな、めぐみん。俺とアクアはこう見えても他のスキルをたくさん取ってるからな?お前の不得意な事をカバーしようと思えば出来ると思うんだよ」

そんな俺の言葉にめぐみんがパアっと顔を輝かせる。

「おいお前、今なんと言った?」

そんな警察官に俺は……。

「……ちょろい」

俺がボソッと呟くと警察官は顔を真っ赤にして叫んだ。

「ちょろくないわ!!ええい!話が進まないので、早く警察署に行きたいのだが!」

そんな警察官にめぐみんが涙目で訴える。

「私を連れて行ってくれるならなんでもしますからぁ……!」

そんなめぐみんの言葉を聞いて、アクアが何かを期待する様に目を輝かせながら。

「……今、なんでもって」「……おいやめろよ」

期待した俺がバカだった。こいつはもうダメかもしれない。

「はいはい分かったよ!ちゃんと面倒見るからあんたはさっさと仕事に戻りなさい」

そんな警察官の言葉にめぐみんがパアっと顔を輝かせ。

「カズマ……!ありがとうございます!!」

「おっ、おい待て!抱き着くなっての!一緒に連れてってあげるから!!ほら離れろ!」

俺にしがみ付きながら泣きじゃくるめぐみんを何とか引き剥がす。

そんな俺達を見て警察官は、もう諦めたのかため息を吐くと……。

「……その子を頼むぞ、変な事をしようとしたら容赦なく撃っちゃっていいからな」

そう言って俺達に背を向けた。

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