当日
とうとう決闘の当日になってしまった。
イリーゼに昨日言われた通り、気楽に行くつもりだったんだけど、当日になったらなったで緊張してきたな。
正直、俺的には負けたって問題ないんだけどな。
負けたら負けたで改めてイリーゼに謝って、当主としての人生が終わるだけだ。
もう昔程当主になりたいだなんて思ってないしな。
……まぁ、負ける気で挑むつもりは無いけどさ。一応練習だって色々したんだからな。
……それで、本当に今更なんだけど、決闘の場所ってどこだ?
今日は学園がある日だし、普通にいつも通り学園に向かえば大丈夫か。
学園で決闘をするにしろ、しないにしろ、学園にさえ行けばフェリシアンが教えてくれるだろう。
「お兄様、行きましょう」
「……あぁ、そうだな」
学園に行く準備を終えたイリーゼにそんな声をかけられて、俺は思った。
まだ決まったわけじゃないけど、もしも学園で決闘が行われるんだとしたら、イリーゼに決闘のことを隠すことなんてどちみち不可能だったんじゃないか?
「お兄様?」
「なんでもない。さっさと行こう」
「はい」
まぁ、今更だ。いつバレたとかは分からないけど、もう普通にバレてるんだし、そんなことを考える意味なんて無いだろう。
なんか、もう護衛も無しでイリーゼとこうやって歩いて学園に行くのも慣れてきたな。
この慣れがいい事なのか悪いことなのかは分からないけど。
「……着いたな」
そんなことを考えながらも、イリーゼと一緒に歩いていると、とうとう学園に着いてしまった。
どこでやるにしろ、流石に決闘は学園の授業が全部終わってからだろうし、まだ時間は一応あるっちゃあるんだけど、嫌だなぁ。
「ありがとうございます、お兄様」
そうして、イリーゼを教室まで送った俺は、自分の教室に向かい始めた。
フェリシアンがいるだろうから嫌だけど、いつもみたいに時間ギリギリに教室に着くように調整する訳じゃなく、だ。
「……」
教室に入ると、案の定と言うべきか、フェリシアンはもう既に教室の中に居て、席に座っていた。
そして俺が教室に入ってきたのを確認したフェリシアンは不機嫌そうな顔をしつつ、俺の方に近づいてきた。
……そんな顔をするのなら、近づいてくるなよ。って言いたいけど、どこで決闘をするかを聞かなくちゃならないし、ちょうどいいか。
「逃げずにちゃんと来たようだな」
「……はい。一応は、私も貴族ですから」
「あぁ、そうだったな。貴族の風上にも置けない野郎だがな」
……まぁ、そうだな。
立派な貴族っていうのはいじめなんてしないからな。
「はい、申し訳ないのですが、決闘の場所を聞いてもよろしいでしょうか?」
「お前、そんなことも把握していないのか」
だって手紙に書いてなかったし。
俺、それを聞けるような友達も居ないし。
「学園だ。決闘は放課後の学園で行う。覚えておけ」
「ありがとうございます」
俺はそう言って頭を少し下げた。
そしてそのまま、話も終わったみたいだし、俺はフェリシアンから離れて適当な席に座った。
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