第27話 タイブレーク

 二セットは、一セット目と違い淡々とした立ち上がりだった。お互いにサービスゲームをキープしゲームカウント6-6となり、タイブレークへと突入した。


 タイブレークは普段のゲームと色々と違う箇所がある。


 勝利条件は二点差以上をつけて七点以上を獲得すること。つまり7-5ならセット終了だが、7-6なら8-6か7-9までは最低でも試合は続くことになる。


 また、サービスサイドの変更も変則的になる。


 一ポイント目はビート選手のサーブをアドバンテージサイドから。二、三ポイント目のサーブは隼人さん。四、五ポイント目はビート選手となる。


 このタイブレークを競り勝てば隼人さんの勝利。負ければセットカウントは1-1となり試合は振り出しに戻るだろう。


 試合開始からだいぶ時間が経っているが、ビート選手の球威に変わりはない。それどころか、むしろ鋭さは増しているような気さえする。


 一ポイント目。ビート選手のファーストサーブ。

 ボディに高くバウンドするボールを、隼人さんは何とかフォアハンドで返すが、甘くなった打球をビート選手に叩かれる。そこでラリーの主導権を握られポイントを取られてしまう。



 0-1



 二ポイント目は隼人さんのサーブ。センターラインにバウンドしたファーストサーブをビート選手はバックハンドへと返球。隼人さんはそれをサイドライン上、ダウンザラインを決めた。


 1-1


 三ポイント目も隼人さんのサーブ。ファーストサーブはワイドに、コートから逃げるような軌道でボールはバウンドしていく。決まったかと思った瞬間、ビート選手はそれをギリギリのショートクロスに返球。


 リターンエースだ。


 1-2


 四ポイント目。ビート選手のサーブアンドボーレが決まる。


 1-3


 五ポイント目。サーブアンドボーレを警戒した隼人さん。リターンをサービスライン上でバウンドするような足元に狙った。対策は成功し、若干浮いたチャンスボールをしっかり決めた。


 2-3


 六ポイント目。隼人さんのファーストサーブ。バックハンドを狙ったであろうボールを、ビート選手はジャストタイミングでストレートへ返球。またしてもリターンエースが決まってしまった。


 隼人さんのサーブは悪くない。いや、むしろ球速もスピンも良いボールだった。しかし結果はリターンエース。


 タイブレークに入ってビート選手は一つギアを上げたのかもしれない。


 2-4


 ここでコートチェンジだ。


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