第26話 ブレーク


 勢いは完全に隼人さんにある。

 観客の誰もにそう思わせるプレーを見せる。


「パパ、やっぱり凄い。ね、たまきくん!」


 美月ちゃんはテンションが上がってか、いつにも増して勢いがある。


 30-40でブレークポイント。

 そこで隼人さんはストローク勝負の中、クロスからバックハンド側に来たボールをストレートに決めた。


 ビート選手は追いつく暇もなく、隼人さんはゲームをブレークした。


「いえーい!」


 ほらほら、とハイタッチを求めてきたり、興奮して肩を叩いてきたりと隼人さんのナイスプレーの度にこの調子だ。


 コートチェンジの束の間の休憩時間。


「ねえねえ、たまきくん」


 美月ちゃんが話しかけてきた。


「わたしもあんなサーブ打てるようになるかな!?」


 女子でもサーブで時速二百キロメートルを超えることは可能だ。


「打てるよ、きっと。帰ったらサーブの練習しようね」


 その後、お互いサービスゲームをキープしたままゲームカウント6-3で隼人さんが一セット目を勝ち取った。

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