第14話 約束

 ラリーを続ける俺たちに隼人さんが声をかけてきた。


「おーい、二人とも。そろそろ、お腹が空いて来たんじゃないかな。一旦、お昼ご飯にしないかい?」


 コート横の時計を見れば、時刻は十二時を少し過ぎていた。


 練習を始めてから一時間か。ちょうどいい時間だな。


「はーい」


 実はこのコート。将来の拡張性を考えてなのか、すぐ脇に芝生の広場が広がっている。こっちは利用申請をすれば多目的で使える。


 今日はそこでピクニックをするとの事だ。母が朝早くから弁当を大量に仕込んでいたのを見て、察していたが。


 テニス以外の運動もしたりするからな。俺も使ったことがあるのだ。


 そうして、ピクニックで腹ごなしをして。少しの休憩の後、一時間ほどみんなでワイワイとテニスをした。


 


「また遊ぼうねー、たまきくんー!」

「うん、またねー!」

「約束だよっ!」


 車の窓から身を乗り出して、手を振っている。

 そんな美月ちゃんを見送った。


 さて、約束とは言ったものの、その次はいつ来ることやら。


 実は、御子柴家は静岡在住らしい。

 来るだけでも一苦労だし、今日このコートに来たのも近くで行われたらしい大会のついででもあるようで。


 まあ、美月ちゃんが隼人さんに頼めばどうにかしてくれるだろう。


 そう思いつつも、俺は取得したスキル《阿吽の呼吸》が無駄にならない事を祈るのだった。


 ダブルスなんて当分やる予定はないので。




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