第13話 練習会4


 スキル《阿吽の呼吸》の効果は絶大だった。

 体を動かす時の力の伝え方、なんかは口頭で説明するとなるとどうしても理屈っぽくなる。


 だから、美月ちゃんの父親である隼人さんも、説明には擬音を多用していたのだろう。


 しかし、俺はスキルによって自分が行っている運動のイメージをそのまま伝えることが出来た。


 これによって、俺が初めて取得したスキル《モーションアシスト》のような効果が期待できるのだ。もっとも、下位互換ではあるがな。


「血って凄いなあ」


 俺とネット越しにラリーを続ける美月ちゃんを見て、思わず口から漏れてしまった。


 流石にプロの子供。ひとたびコツを掴めば、そこからは躓くことなく、すぐにサービスラインの距離でラリーを出来るようになった。


「たまきくん。いくよー!」

「うん、負けないよ!」


 大人から見れば、微笑ましいラリーが続く。

 目標であるグランドスラムからは、かけ離れたスピードのボールがゆるい弧を描く。


 やっぱり、テニスは楽しいな。

 今世ではテニスを初めて半年と少し経ったが、その全てが大人との練習だった。


 それはそれで楽しくはあったが、あくまでもテニスの上達が目的である。


 今日、初めて同年代の相手とテニスをして。

 楽しいからテニスをする、美月ちゃんを見て。


 こういうのも良いな、と俺は思った。

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