第12話 練習会3


 スキル《阿吽の呼吸》。

 効果はペアとなった相手との意思疎通に上方補正がかかる、との事。


 上手く使えば、練習においても最適なイメージを伝えてくれる、と思う。


 正直、直接的な能力向上にはならないし、本当に有効かどうかも分からないからこのスキルを取るかは迷った。


 残りTPは三ポイント。もうそろそろ誕生日なので一ポイント増えるはずだが、他にも取りたいスキルがある。


 が、同い年の練習相手は貴重だ。ここはテニスを好きになってもらうためにも投資をするとしますか。


「ねえ、みつきちゃん」


 コソコソとみつきちゃんに近づいて内緒話をはじめる。


「ん、なあに?」


 話しかけられ、不思議そうな顔をする美月ちゃん。

 ううん、なんて話しかけるか……


「一緒にペア組まない? そしたら、テニスのこと教えてあげるよ」

「ペアって?」


 おっと、そこからかあ……よし、ここはゴリ押しだ。


「ほら、みつきちゃんのパパと戦うには一人じゃ敵わないでしょ。だから、二人で力を合わせないと!」


「え、なんで? パパと戦うの」


 何でだろうな?


「子は親を超えるものと相場は決まってるの! ね! いいでしょ?」


「う、うん。よく分かんないけど良いよ」


 よーし、コレで第一段階は突破したな。

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