第11話 練習会2


 俺と同じように美月ちゃんもまずは球出しから練習をはじめた。


「ううん、こうかなー?」


 ぱっ、とラケットを振るとボールはネットに引っかかって落ちた。


「美月ー、ラケットとはビュンって勢いよく振るんだよ。そうすれば、いい感じにボールは飛んでいってくれるからね」


 えぇ、隼人さんってもしかして感覚派なのか? それとも幼い子に分かる説明をしたらそうなったのか。どうなのだろうか。


「えっと、こうっ!」


 隼人さんのアドバイスを自分なりに咀嚼したのか、今度はさっきよりもラケットヘッドが走っていた。


 その代わり、コントロールが定まらずにボールは明後日な方向へ飛んで行ってしまった。


 頬を膨らませるくらいに、美月ちゃんは不満を溜めている。


 うん、テニスって慣れるまで中々に時間がかかるスポーツだ。思った通りにボールを運べるようになったらすごく面白いんだけど、そこまでがたいへんなんだよな。


 五歳の子供にはその慣れるまでがすごく大変だ。自分から進んでやってるならともかく、親に言われるがままはじめたソレを楽しくないのに続けるのはストレスが溜まるだろう。


 予定にはなかったのだけど、これはスキルの出番か?


 もったいない気もするが、この状況を解決できそうで、なおかつ今後も役に立つかもしれないスキルがあるんだよなぁ。


 ……よし、取ろう。

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