第9話 幼馴染


「初めまして、環くん。私は御子柴隼人みこしばはやと、テニス選手だよ。で、妻の菖蒲あやめと娘の美月みつき。今日はよろしくね」


 年齢は二十代後半くらいか?

 プロテニス選手だけあって身長は高い。多分、180cm位あると思う。

 奥さんはすらっとした美人だ。なんだコイツ、勝ち組か?


「ぼくは環、ママは遥香です。よろしくー」


 お互い挨拶を済ませ、早速予約したコートへ向かうことになった。


「環くんはいつもここでテニスをしているのかな?」


「そうだよ」


「いやあ、羨ましいなあ。僕もね、ここで練習出来たら良いんだけど、家からちょっと遠いんだよね」


 俺からしたら、隼人さん。あんたの方が羨ましいぞ。


 テニスコートの前で一旦隼人さんは立ち止まると、美月ちゃんを俺の前まで連れてきた。


「美月は今日が初めてのテニスなんだ。もし良ければ環くんが教えてくれるかな。どうだい?」


 ほう。プロの子供だからさぞかし英才教育を受けているだろう、と思っていたが……そうでは無いのか。


 もちろん俺に否はない。


「いいよ! 今日はよろしくね、みつきちゃん!」


「う、うん……よろしく」


 だ、だいぶ距離を感じるな……大丈夫か、これ。

 今日の先行きに早くも不安を感じるのだった。

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