第8話 待ち合わせ
爺さんがこの話を持ってきた理由だが、心当たりがある。
というのも、実は幼稚園の友達を一度も家に誘ったことも、遊びに行ったこともないのだ。
外で遊ぶのは身体を動かす運動にもなるのでドンと来いなのだが、家の中での遊びは精神的疲労が酷いのだ。
この時代、幼稚園児の部屋遊びと言えばおもちゃ遊びくらいしかやることが無い。そして、そのおもちゃ遊びは戦隊モノや怪獣モノの人形遊びが主流なのだ。
これに関してはもう諦めている。
ちなみに誘われた時は思いっきり話を逸らしている。相手は園児なので、そこまで高くない俺の話術でも今のところどうにか煙に巻くことが出来ている。
そんなこんなで、一度も友達を家に誘ったことの無い俺を心配した両親が爺さんに相談したのが事の顛末だろう。
約束の日。
テニスコートのラウンジで会う段取りになっている。
「ねえ、たまき。今日会う子はどんな子なのかしらね」
「んー、多分テニスが好きだと思う!」
約束した時間より少し早く着いたので、ベンチに座って母とお話している。
ちなみに、幼稚園の演技のコツはIQを下げて会話することだ。参考にしてくれ。
五分前になると、ラウンジに入ってくる人影が見えた。
「こんにちは、環くんとお母さんですか?」
夫婦らしき男女と、その娘。推定父親が声をかけてきた。
この人がプロの選手なのか。
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