第14話 間幕 皇都
「父上、お呼びでしょうか?」
皇帝・明誠の療養する部屋に長子の泰誠が入ってきた。
「泰誠。宝珠が行方不明になった。」
「なんですって!本当ですか?」
宝珠とは竜珠を表す隠語で、現在はそれを継承する明蘭のことを指している。
「北都州の恒詠から鳥伝がきた。つけた護衛が一人残してすべて殺され、残った一人も見つかった時は瀕死の重傷だったそうだ。宝珠は行方が分からなくなったと報告が来た。」
「ただの物取りなどの可能性は?」
「その生き残った者が、恒詠の弟・恒安の部下が賊に混ざっていたと証言したらしい。恒安の周辺を探らせたところ証拠が出たそうだ。」
「兄の任務を妨害して失脚させ、自分が兄にとって代わろうということですか?」
明誠は頷いた。
「北都州の兄弟間の問題はその通りだ。」
「他に何か?」
「その弟は、第三皇子に密命を賜ったと証言したらしい。」
「なっ!まさか。」
泰誠の顔色が変わった。
「陽誠はお前を次代の皇帝にと熱望しているようだが、今回の行動は許されることではない。未だ竜珠は皇宮の皇子達には継承されておらず、宝珠は生きている。今回は未遂だったが二度とこのような事が起こらないよう陽誠と雪花をしっかり押さえておけ。」
雪花の実家は宰相家であり、泰誠とのつながりも強い。事を明らかにして二人を処罰するようなことになると皇宮全体を揺るがす大事となる。
泰誠は苦しそうな表情で頷いた。
「かしこまりました。」
「行方不明となった宝珠の捜索・保護が最重要任務となる。大怪我を負っている可能性もあるし、早い発見が望まれる。頼誠にも連絡し、軍を動かせ。あと・・・私はアレを放鳥することにした。アレは竜珠と共鳴するからな。」
「まさか神鳥を?」
「背に腹は代えられん。」
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