友達の友達
「へー。じゃトモサキくんは志摩ちゃんの大友達なわけだ。」
「そこは親友とか幼馴染でいいんじゃないのか?でも、志摩にも普通に他の友達がいたみたいでよかった。てっきり…」
「あーしもだいぶ普通じゃないけどねん。志摩ちゃんと友達になったのだって、学校サボった日のゲーセンだったし。」
あれから数分後。
志摩がオトモ女子二人におちょくられてる間に、友崎と不二華はそれなりに喋れる仲に進展しておりました。
流石は友人キャラ。
仕様か偶然かはさておいて、主人公キャラとヒロインとの好感度を確かめるためにも、見知らぬ女子との会話に一切物怖じしません。
わしゃしゃしゃしゃしゃ。
「ひゃひゃひゃひゃひゃ~!?もうやめ~~~~!!?」
「うーりうりうりー?喋らないとこの攻めが終わることはないですよ~?」
「あ゛ー………アッ・・・・・・・・・・・・・・ハ・・・・・・・」
わしゃしゃしゃしゃ。
「夏美っちヤバいっす!志摩Pくすぐりすぎて呼吸できてないっす!!これじゃ聞きたくても聞けないっす!」
「なんのぉおおおおおお!!わたくしの指が燃え尽きるまでっ!このくすぐりをやめることはないのですっ!!!!」
わしゃしゃしゃしゃしゃ。
「…いいかげん止めたげたらー?」
「………そうだな。」
「は~…で、何の用だよ、不二華さんよ。」
「やだ…志摩ちゃん冷たい…抱きしめていい?」
「やめっ…やめろや!」
力負け。
志摩は抱き上げる形で膝に座らされてしまいました。
「さっき言ってたっしょ~?”くっつけ大作戦”だっけ?何あれ?」
「…なあ友崎、俺らそんな話してたっけ?」
「いやぁ~しらんなぁ~。」
二人はすっとぼけました。
まぁ常識的に考えて、友達のために
「ほかの女子を当て馬だか身代わりだかにして、学校中からモテモテな変なやつとくっつけよう」
だなんて計画をしていることがカースト上位層に知られたら、とんでもない顰蹙を買う上にあっという間に広がって、学校中から壮絶ないじめの末に泣き寝入りの失踪なり自殺なり。
そんな展開が待っています。待っているはずなのです。
絶対に言えません。
「教室でいつもでっかい声で話してたじゃ~ん。あ~しに嘘は通用しないよん?それとも…他のクラスメイトに聞いてみちゃおっか?二人がサイコーインくんに対して何か企んでるっぽいけどなんか知らない?ってね。」
ギャルはベンチで足を組みにやりと目を細めます。とても絵になりますね。
イベントスチルにもってこいです。
…ではなく、この状況では
「「すいません教えるので黙っててください。」」
言うしかないのでした。
「ふ~ん、そうだったんだ~。」
「…。」
「ふぅ~~~~ん????」
「……。」
「志摩ちゃん?」
「はい。」
「とっても楽しそうな計画だね。」
「そ~かなぁ~…?」
強めのぎゅっ。
「楽しそうだね?」
「はい・・・・・・。」
「混・ぜ・て?」
「…………。」
いやいやいや。
おかしいでしょう。
学校中の紳士淑女老若男女が”彼”に夢中。
こんな頓智来な作戦、というか思い付きレベルの。
嫌がらせのようなそれに、クラスカースト上位ギャルが。
明らかに”最高院”を好きに決まっているであろう人物が。
何の裏もなく参加するはずがないじゃあないですか。
「ごめん不二華さ…ちゃん!それだけは何卒っ!」
「え~断っちゃうの~?どうしちゃおっかな~…?」
「くっ…。」
今ここで「みんな~二人がサイコウインくんに何かしようとたくらんでるよ~!」なんて叫ばれた暁にはEND。
逃げるすべもありません。
「あーしが入った方が~、知り合いも沢山いるし~?当て馬し放題だと思うけどな~?」
それはそうです。
そうですが。
「俺、思うんだ。」
「どしたの志麻ちゃん。」
不二華の膝上から飛び降りて、、志摩は想いをかみしめるように話し始めます。
「…不二華さ…ちゃんは、男みたいな喋り方してたり、周りから変人呼ばわりされてる俺とも友達になってくれる、いいやつだ。」
「…?」
「だから……だから友達を!!折角できた友達を、こんな危ない(ような気がする)作戦に参加させて、傷つけたりするわけにはいかないんだ!!」
その目には涙。そして強い意志が宿っておりました。
その強く優しく美しい意志に、乾杯───
「……志麻ちゃん…。」
不二華はその想いに、やさしく、ふわりと抱きしめる形で答えました───。
見る人が見れば百合のような光景でした────。
「いい話風でごまかそうったってそうはいかないってば。そんなことするなら無理にでも参加するからね?」
「………あい。」
ぱっぱらぱっぱっぱ~☆
クラスカースト上位ギャルが仲間になった。
「…友達に傷ついてほしくないのは、あーしだって同じだし。」
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