第4話

【雛視点】


 前に住んでいたアパートよりも学校の近くに在るマンションからの登校になるのでちょっぴり得した気分。

 それに、何と言ってもお兄様と正式に婚約出来たのが何よりも嬉しいのです。

 お母様からは、『さすがは雛ね! 良く頑張りました!』そう言っていただき。

 頭を撫でてもらったのです。

 お腹の奥の痛みは幻痛げんつうとか言うらしく共感度が高過ぎると起きる現象なのだそうです。

 私の力が強かったのか、それとも相性が良かったからなのか?

 実際のところはわからないのですが、きっと相性が良かったからなのだと信じているのです。

 だって、実際にお兄様が私の事を求めて下さった事実は変えられようがないのですから。

 教室に入って自分の席に座ると――

 すぐに、細田ほそださんと畑中はたなかさんが話しかけてきました。


「ねぇねぇ住良木さん! どうだった? 苗字変わりそうなの?」


 かなり食い気味で顔を近づけてくるのが細田さん。

 背が高くて運動も出来てボーイッシュなのが特徴。

 良く男子に混ざって野球だとかサッカーで遊んでいる。


「はい、今度は、由崎ゆざきになるのです」

「へー、由崎かぁ」

「そんな事よりも大学生の息子さんってどんな感じだったイケメン?」


 一方で畑中さんは年上の男の子に興味深々。

 いくつかのアイドルグループを神様のようにあがめているちょっと変わった人。

 髪は、結構長めで腰くらいまであって身長は私と同じくらいなのにお胸の膨らみがちょっぴり大きくて羨ましいのです。


「イケメンって言うよりも可愛い感じの好青年って感じだったのです」

「へー。いいなぁ。写真とかある?」

「ん~。お兄様が良いって言って下さればスマホで写真撮ってくるのです」

「ホントに⁉」

「雛は嘘つかないのです」

「まぁ、写真見るだけにしときなよ。あたしら小学生なんて大学生から見たら子供みたいなもんだし、いくら頑張ったって相手になんてされないんだからさ」


 この細田さんの言ったことに畑中さんが猛反発。


「そんな事わからないじゃん! ロリコンかもしれないんだし! それにさ、私ってけっこう可愛い系じゃない!」


 確かに、畑中さんは私から見ても可愛い系だと思うけど……

 お兄様の心が動くとは思えない。

 だって、お兄様の好みはお母様みたいな女性なのだから。

 そう思うとちょっぴり泣きたくなってくるけど……

 今は、我慢の時なのです。

 だって、お母様が言ってました。

 胸は好きな人に揉んでもらえばすぐに大きくなるって。

 それは、つまり大好きなお兄様に毎日揉んでもらえば私の胸もそれなりになるはずなのです。

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