溢れる気持ち 2024/02/05

 私は彼女を見た瞬間、体に電撃が走った。

 一目ぼれと言う奴だろう。

 あの子が欲しい。

 そんな気持ちが溢れる。


 だが私もいい年をした大人だ。

 だから私は自分に気の迷いだと言い聞かせ、その場を去った。

 しかし、家に帰り、風呂に入っても忘れることはできなかった。

 布団に入っても思い出すのはあの子の事。

 でも一晩眠れば忘れるはずさ。

 そう思っていた。


 だけど、次の朝になっても、思い出されるのは彼女の事ばかりだった。

 そこに至ってやっと私は自分の過ちを認めた。

 これは恋なんだと。


 彼女に会いに行こう。

 幸い今日は休日だ。

 今から準備すれば、朝の内に会いに行けるだろう。

 急いで着替えを済ませ、家を出る。


 だが車の運転席に乗り込んだ時、冷静な部分の私がささやく。

『あれほど美人だよ。手遅れかも』

 その言葉に私は一瞬ためらう。

 しかし、ここで行かなければ、私は一生後悔するだろう。


『やらない後悔より、やる後悔』

 誰が行ったかは覚えていないが、偉大な言葉である。

 私はその言葉に勇気づけられ、車を出発させる。

 もう迷わない。

 待っていろよ――


 車で一時間、目的の場所に着く。

 目の前にあるのはホームセンター。

 彼女はここにいる。


 怪しまれないよう、でもできるだけ早く歩き店内に入る。

 昨日、彼女がいた場所はいるだろうか?

 心臓が高鳴るのを自覚しながら、その場所を見ると、彼女は昨日と変わらない姿で佇んでいた。

 私はすぐさま駆け寄り、彼女を抱きしめる。

 もう離さない。


 そして私は綺麗に咲いた『アジサイ』を抱きしめてレジへ向かう。

 会計の際、不覚にも手放してしまったが、きっと彼女も許してくれるはず、多分。


 すべての用事が終わった店から出て、車に乗り込む。

 助手席に彼女を座らせ、車のエンジンをかける。

 そしてもう一度彼女を見る。

 綺麗に咲き誇る彼女は美しい

 やはりアジサイはいい。


 これが彼女と出会った時の話。

 彼女は今もベランダにいる


P.S.

 お気づかれた方もいると思いますが、自分の実話です。

 もともとアジサイは好きなのですが、その時初めて見た品種のアジサイに心を奪われ、家に迎え入れました。

 アジサイは、いいぞ。

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