珍真said
冗談じゃ無い。
やっと後宮から抜け出せたのに、今度は変わり者の馬鹿娘、高容果が私を後宮に連れて行くとぬかしやがった。馬鹿娘だけでは無く旦那様方も賛成しているので、私に断るという選択肢は無い。
私が以前仕えていた馬鹿娘の姉、
しかし、血は争えないのだろう。馬鹿の姉は阿呆だったのだ。後宮のもめ事に自分から突っ込んでいって結果的に巻き込まれてしまう。また、変に正義感の強い人だったから、いじめられている位の低い妃達を助け、時には援助もしていた。それが至上の方々の気に障ったのだろう。いじめの標的が容寧様に集中してしまった。
このままこの人に仕えていても良い未来は待っていない。ましてや、これ以上近くにいれば私にまで累が及ぶ。なので見捨てた。
容寧様には良くしてもらったし、感謝もしていた。でも自分の命に危険が及んでまで助けようなんて思わない。あんな偽善者は見捨てられて当然なのだ。
だから私は悪くない。他の人だって私と同じ立場であればきっと同じようにしたはずだ。
結果的に後宮から出て、屋敷に戻ってこられたわけだが、また後宮に戻ることになるなんて......。馬鹿娘のことだから何かしらの失態を犯して後宮から追放されるだろう。だが念には念を入れて、花盆靴に細工をしておいた。ちょっと歩きにくくさせるだけのつもりが、あろうことか皇帝陛下の前で転びやがった。これで後宮に入ることどころか、罰を受けるだろう、そう思っていた。
だが馬鹿娘が罰を受けることは無く、むず痒さといらだちが募っていった。
早くここから抜け出さなければ。あの方達にはもう目をつけられている。当時の私は焦りでいっぱいいっぱいだった。だからこそつい、苛烈な行動をとってしまった。
能天気な顔に傷をつけて表に出せなくしてやろうと熱湯を持って馬鹿娘を押さえている時に運悪く陛下がいらっしゃって蹴られて私の顔、身体にかけようとしていた熱湯が逆にかかってしまった。そこから十分な治療を受けることも出来ず、牢に入れられている。
牢にたまった雨水にうつっていたのは、化け物のような、とても人前にでれる姿ではなかった。これでは嫁に貰ってくれる人なんて出来るわけが無い。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃ」
顔中が燃えているように熱く、かぶれていて膿んでいるところから汁が溢れてきている。
どうして?どうして私がこんな目に遭わないといけないの!?!?
これも全部馬鹿娘の所為よ。あの女の所為で私の人生滅茶苦茶。謝りに来ても絶対に許してやらないんだから。復讐してやる...!!
早く私に会いに来なさい。そして私をここから出すのよ。産まれてきたことを後悔させてやる。だからはやく......早く来いぃ!!
景和宮の容果 244 @244k
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。景和宮の容果の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
僕の家族のお話/244
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 7話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます