銃がある。私が手掛けた銃が、そこにある。

 私は手を伸ばした。


 これは、私が作った銃だ。

 私の銃だ。私の銃だ。私の銃だ。


 これで人の頭を撃つのだ。これで人の心を打つのだ。

 そうすれば、私は認められる。妻にも、国にも、この世界にも。


 そのために、私は機械を作ってきたのだ。


 そのために。


 そのために。


 そのために。

 





 ……違う。

 私がしたかったのは、こんなことではない。

 ただ、妻を楽にしてやりたかった。それだけだった。


 ──……を、……て。


 ああ。

 あの時の妻の言葉が、ようやく分かった。


 ──もう一度、やり直せるだろうか。


 私は尋ねた。


 ──私は、お前だけのために、靴下編みの機械を作っていれば良かったのだ。


 妻は笑っていた。


 ──もう一度、お前のそばで、やり直して良いだろうか。


 私の心の炎と、妻が腰掛けた暖炉の炎。

 その色が、初めて溶け合ったような気がした。

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