2024/3/15 サラリーキャップ

 アメリカンスポーツを理解するうえで、避けて通れない要素の一つがサラリーキャップ。


 すなわち、各チームが野放図に資金を使うのはまかりならん。

 リーグの決めた額以内に収めなさい、というものです。


 導入していないメジャーリーグにも贅沢税というものがありまして、資金格差がないようにしようとしています。逆に導入していてもNBAは贅沢税を設けておりますが。


 当然ですが、優秀な選手は基本的に値段が高くなります。

 金を使えば強いチームができるのは自然。しかし、それで同じチームばかりが優勝するのは面白くない。全てのチームに平等にチャンスを与えるべきだ、という代物です。


 で、これ、当初はどのチームも「何とか強いチームを作ろう」と切磋琢磨して頑張っておりました。しかし、極論すれば補強戦略が合っていたとしても不慮の負傷なりトラブルなどでうまくいかないのが常。

 次第に勝負するチーム、再建するチームに分かれてきました。


 選手は基本的には勝ちたいものですし、勝つチームにいれば多少年俸が安くてもスポンサーなどがついてくれます。

 ということで、弱いチームが頑張ろうとしても地道に強くするのは実は難しい。

 ならば、諦めるシーズンを作って、多くのポジションで安い選手(素質あるドラフト選手も含む)を使ってみる。うまく育ってくれば、次のシーズン以降は金を使って残りのポジションを補強して勝ちに行く、という具合です。


 シカゴ・ベアーズは2期前はシーズン途中で白旗をあげ、主力選手を放出してドラフト権を多めに取りました。多少整備した昨季も発展途上型のチームでした。

 ですので、サラリーキャップ的には割と余裕があります。

 具体的には現時点では4番目にお金を使っていないチームだったようです。ということは成績も下から4番目になってしかるべきですが、昨年は9番目に弱いチームでした。

 つまり費用対効果的には良かったとも言えるのでしょう(苦笑)


 そんなサラリーキャップですが、別の効果もあるそうです。

「キャップに空きがあるチームは選手のモチベーションが高めになりやすく、超過しているチームは下がりやすい」

 というのも、サラリーキャップに余裕がないとなると、基本的にそのチームは年俸削減やら高年俸選手のカットという方向性になりがちです。となると、選手も他所に行く公算が高い。他チームでの次の契約に向けて目立つ成績を残したくなりがちで、チームのためのプレーをあまりしてくれなくなる。

 サラリーキャップに余裕があるなら、チームに貢献すれば年俸アップで再契約の可能性もある、だから成績以外のことも頑張るというのです。


 実際にそこまで単純なものでもないとは思いますけれど、そんな観点からも楽しめるのかもしれません。

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