何とも理不尽な話

※これはあくまで今我が家に起こっている事象をエッセイとして書いているだけで、特定の企業や団体を糾弾する意図はありません。




 先日、テレビのアンテナを撤去する事になりました。

理由は単純でアンテナが強風で倒れたから。


 両親はアンテナを敷設しなおそうとE社という最寄りの電気屋に行ったらしいのです。

見積もりを出す為に我が家のアンテナの状況を見に来た業者の方は言いました。


「この環境だと、アンテナを立てなおして瓦を傷めるよりも、光テレビを検討するのも一つの手だと思いますよ」


 全てはこの一言から始まりました。


 自分の仕事よりもうちの事を考えて案内をしてくれるなんて、何とも誠実な方だと私は両親に言いました。

信用に足る人だと思うので一度案内を聞きに行ってみてはどうかと案内したんです。


 両親もそれに納得して、もう一度E社に行って説明を受け、資料を貰って十分検討。

D社、S社、C社と話を聞き、それぞれ見積もりを貰って検討をしました。

その結果、もっとも親身になって説明してくれたS社のプランで光テレビを導入する事にしたんです。


 実は我が家は、元々旧公社の光回線を敷いていまして、S社をプロバイダとしてインターネットを利用していました。

それに衛星大手のプランでCS放送を見るという、何とも無駄の多い事をしていたんです。


 あちこちに作った借金じゃないですが、それを全てS社でまとめてしまおうと、そういうプランにしたんです。

そのプランの中には電話も入っています。


 全てはとんとん拍子で話が進み、E社でS社の窓口の方に契約書を作っていただき、加入の手順を進めていただき、アンテナの撤去の日取りも決めました。



 この時、実は若干の問題が発生したんだそうです。

実は私の住むH市は、今年区編成をしました。

恐らくは某自動車会社の意向で。

市民の利便性を『行政の無駄』と評した市長の意向で区の名称が変更になったのです。


 S社の窓口の方が変な事を言ってきたんだそうです。


「もしかしたら新しい区名だと手続きができないかもしれないので、旧区名で契約書を作成しますね」


 区名が変更になったのはもう何か月も前の話なのに、どういう事なんだろう?

その時点で私も不審に思ってはいたのです。


 案の定、数日後にS社から区名が間違っているのでお手続きができないという旨の連絡が入りました。

声的にE社の窓口の方ではなくオペレーターと思しき方。


 そのオペレーターさんは現状を私に説明したんです。

その説明がどうにも納得がいかないんです。

そもそもオペレーターさんは、『住所が間違っている』から手続きができないと言うんです。

住所はどうなっているのかと尋ねると、単に旧区名なだけ。

何も住所は間違っていないわけです。


「ですが、当社のデータベース上ではこの区名はもう存在しない事になっているんです。だから手続きが進められないんです」


 だから新区名でもう一度契約書を作り直してもらいにE社に来てくれというんです。

住所が単に旧区名になっているだけならそちらで直してくれれば良いだけの話と私は言ったのですが、『住所が間違っている』のだから、そんな事はやれないの一点張り。


 私たちとしても、光テレビはともかくとして、契約がどうこうと揉めている間にまた台風のような大風が吹き、アンテナが暴れて屋根を破損され雨漏りでもされたら修理費は尋常じゃない金額になってしまうわけです。

渋々という感じでE社へ足を運び、契約書を新区名で作り直してもらいました。



 ところがその翌日、また先日のS社のオペレーターさんから電話がかかってきたのです。

またもや契約が進められなくなったと。


 正直、いい加減にして欲しいという気分でした。

そのせいでオペレーターさんには申し訳ないのですが、最初から喧嘩腰でした。


 オペレーターさんの説明はこうでした。

新区名で登録を進めたのだが、旧公社から『契約は旧区名のままだから受け付けらない』と言われたと。

だから旧公社に連絡して新区名に変更するように連絡して欲しいと言うのです。


 そんな馬鹿な話があるかと私は指摘したんです。

そんなものは旧公社のデータ管理の問題であって、我々ユーザには一ミリも関係無い話じゃないかと。

そんなのはS社と旧公社で連携がなっていないというだけの話であって、客側のこちらに押し付けるべき問題では無いと指摘しました。


 話はどこまでも平行線で、最終的にクレームという形にするので、H市の他の顧客の為にも、上司と会社と対応を検討して欲しいと言って電話を切りました。



 翌日またS社から電話がありました。

オペレーターさんはちゃんとクレームとしてあげてくれたようで、社内で検討してくれたようなのです。

さらには旧公社にも連絡をして何とかならないのかと話もしてくれたのだそうです。

ですが、旧公社は頑として『客から電話してこなければ受付はできない』の一点張りだったのだとか。

しかも、データベースは変更されているが契約が旧区名になっていると言われたのだそうです。


 私はどういう事なのだろうと一旦冷静になって考えました。

そもそも、普通に考えて区割りの変更のような事があった場合、どこの会社でもSEさんがパッチを当てて一斉に住所変更するはずだと思うんです。

この場合、S社の旧区名は存在しないという対応の方が普通だと思うんです。

そう考えればおかしい事を言っているのはどう考えても旧公社側。


 ここで、あれ?と思いました。

旧区名になっている?

恐らく私たちが旧公社の光回線を契約した時、私たちの住所はH市じゃなかったはずなんです。

その後市町村合併してH市になったはずなんです。

それが旧区名になっていると言う事は、旧公社は一度契約の住所変更をかけたということじゃないですか。


「それはつまり、S社さんが旧公社に嫌がらせをされていると言う事ですか? それとも私たちが旧公社に嫌がらせをされていると言う事ですか?」


 オペレーターさんも電話先で苦笑いです。

ふんという鼻息が電話先から聞こえてきました。


「……そういう事かもしれませんね」


 そういう事であれば、もう一度E社に行くから、そこでS社の窓口の方から旧公社に電話してもらい、旧公社に状況を説明してもらえればはっきりするだろうという事になったんです。


 結果は……旧公社は住所の修正には応じませんでした。

正確に言うと受付はしてくれました。

ですが、一週間後にもう一度電話をしてこいと言われたのだそうです。


 E社も旧公社の嫌がらせで契約が進まないというのと、アンテナの件は切り離して処理してくれて、アンテナは撤去される事になりました。

ですので現状でテレビは全く映っていません。

この状況で公共放送の視聴料を払わないといけないというのも何とも納得がいきませんね。


これって、ようは『こっちは旧公社様なのだから、下々のものは土下座してお願いして来い』って態度なわけでしょ?

来週に旧公社に電話したとして、今度は例えば引継ぎがされていないから聞いていないとか言われて、さらに嫌がらせをされるかもしれないわけです。

昨今固定電話を解約する家が増えていると聞きますから、また解約かと苛々もするのでしょう。

だけど、それは顧客に嫌がらせをして良いと言う事にはならないと思うのです。


皆さんはこの話を聞いて、どうお感じになりますか?

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