第25話 美少女二人と同棲することに
ニグルはベッドに横たわりながら、この状況の原因を考えていた。
「寝れねぇ....」
彼の両隣には二人の可憐な少女が眠っていた。
端正な顔立ちの美少女、シャーリィとフレイヤだ。
何故、こんな状況に陥っているのかと言うと、理由は半日前まで遡る。
魔術師の襲撃騒動から二週間が過ぎた頃、ニグルは学院長のアルカに呼び出されていた。
「授業中なのに急に呼び出してすまないなニグル」
授業を行っている最中に、拡声魔術で呼び出されたニグルは、いち早く彼女の元へ駆けつけたのだ。
「生徒たちには自習を言いつけてきたので大丈夫ですけど、何かありましたか?」
アルカは重苦しい表情を浮かべている、面倒な事が起きているのは明白であった。
「先の騒動が原因で少々厄介な事があってな、口止めを行っていたシャーリィの情報が学院都市外に流出したんだ」
シャーリィの正体が学院都市外に漏れたとなれば彼女は危険な状況に晒される事になるだろう。
鬼人族の生き残りが存在している事が知れたとなれば功名心に駆られた世界中の魔術師や、過激な団体に狙われるからだ。
しかし話はこれで終わらなかった。
「加えて、問題は彼女だけじゃないんだ、フレイヤの異様な力についても、学院都市の上が危険視しているそうだ、下手したら危険分子として処分されてしまう可能性も出てきてしまう、そこでお前の出番だ」
そしてアルカはニグルの事を見据えながら、ビシッと彼の事を指差す。
「シャーリィの護衛とフレイヤの監視を兼ねて、しばらくの間、二人と同棲してくれないか?」
アルカに頼まれた事は、予想の斜め上を超えた事だった。
「はあああっ!? 何を言ってるんですか学院長! 教師と生徒が同棲なんて問題ありありですよ!」
「心配するな、二人にも既に同意は得ているし、お前に貸した妾の家も空き部屋が余っているだろ? どこに問題があるんだ」
アルカはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる。
(そういう問題じゃねぇ!!)
「ほら、二人もそこで覗いているのはバレバレだぞ」
アルカが部屋の外に呼びかけると。
顔を少し赤らめた二人が入ってきた。
「え、えへへ....先生、これからよろしくね」
「聞いたよ、ボク達を守ってくれるんでしょ? 期待しているからね、先生っ」
「ということだ、これから二人を頼むぞ、ニグル」
今日から理性を保てるか心配になり、ため息を吐くニグルなのだった。
同時刻、鬼人邪教団の本拠地にて、一人の男が怒り狂っていた。
「なんだと! ただでさえ鬼ノ目は敵に捕らえられているのに、鬼ノ足も失踪しただと!?」
教団の幹部と下っ端を繋ぐ連絡員のハーリアは部下から驚くべき報告を受けた。
幹部の一人である鬼ノ足が失踪してしまったのだ。
「奴は確か、ニグル・フューリーを暗殺する任務についていたな」
「は、はい、ですが突然、鬼の足から連絡が途絶え....」
「なるほど、このタイミングで奴の人格が入れ替わってしまったということか....とにかく草の根を掻き分けてでも探して連れ戻せ! 鬼ノ頭に知られれば私たちの命は無いぞ....」
ハーリアは、大慌てで部下に早急に命じた。
「居眠りなんてらしくねぇな....はぁ、どうすんだよ生徒と同棲なんて」
ニグルはシャーリィたちを連れて家に帰ったのだが、日々の度重なる心労が重なり、ソファで眠ってしまっていた。
「シャワー行くか、ちょっと汗が酷いしな」
ニグルは重い体を引き摺りながら、シャワー室へと向かった。
「それにしてもアイツら、どこに行ったんだ....?」
先程から家を歩き回っているが、シャーリィ達の姿が見えないのだ。
(まさか、また何かあったんじゃ....?)
ニグルは急に不安に駆られるものの、深く考えずにシャワー室の扉を開けた。
「「えっ」」
彼は心の底から後悔した、なんで入ってるかどうかノックをするなりなんなりで確認しなかったのか、と。
湯気が立ち上る室内には一糸まとわぬ姿の少女たちが佇んでいた。
控えめな大きさの胸を手で抑えているシャーリィ、それとは対照的に、想像よりも大きな双丘が顕になっているフレイヤ。
二人は突然の乱入者に困惑したようで呆然としている。
「あ....悪かった、じゃあ俺、出てるから」
その隙にニグルはゆっくりと立ち去ろうとした。
「「ちょっと待てー!!」」
しかし我に返った二人からは、殺意の籠った魔術が次々に飛んできた。
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