双子かっぷる!

夕日ゆうや

俺がモテるわけがない

麻宮あさみや

「麻宮くん」

 二人の声がステレオボイスで伝わってくる。

「私と、」

「わたしと、」

 空気を振動させて、その声は耳朶を打つ。

「「付き合って――!!」」

 双子の宍戸ししど姉妹が俺に告白をしてきた。

「待って。栞菜かんなさん、杏菜あんなさん」

「なーに?」

 栞菜さんはニタニタと意地の悪い笑みを浮かべる。

「なんですか?」

 丁寧でかしこまった様子の杏菜さん。

「俺のこと、どうして好きになったんだ?」

 二人とも俺と同じ高校に通ういち生徒。

 接点がなかったわけじゃないが、俺がモテるわけがない。

「ふふ。そんなの決まっているわ。あなたの優しいところが好きなの」

「そうですね。あなたは素直で隠し事ができないのが素敵だと思います」

 二人は真剣な顔でこちらを見てくる。

「「さ。どっち?」」

「いや、ええ……」

 困った。

 俺はこのかた、一度もモテた経験がない。

 どうすればいい?

「とりあえず、連絡先を交換しませんか?」

 杏菜が顔を赤らめて訊ねてくる。

「そ、そうだね」

「ふふ。いい案よ。杏菜」

 栞菜さんも異論はないみたい。


 こうして俺たちのラブコメは始まった。

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双子かっぷる! 夕日ゆうや @PT03wing

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