第七十七話 デイジーさんと一緒に過ごします
侍従さんの治療を終えると、今度は剣技の訓練を見せる事にしました。
僕は、魔法袋から木剣を取り出して構えました。
ひゅん、ひゅん。
「えい、えい!」
僕はいつも通りに木剣を振るいます。
勿論、守備隊の隊員から貰ったアドバイスを忘れない様にします。
そんな僕の事を、デイジーさんと侍従がびっくりした表情で見ていました。
「ふう、こんな感じでやっています。守備隊の剣技を真似ているだけですけどね」
ぱちぱちぱち。
「凄いわ。お兄様も、レオ君の歳ではただ剣を振るっていただけですわ」
「この歳ではかなり良い線をいっていると思います。恐らく目で見たものを模倣する能力が高いのでしょう」
五分くらい剣技を見せると、汗を拭う僕に向けてデイジーさんと侍従さんが拍手してくれました。
侍従さんは僕の模倣能力が高いって言ってくれたけど、もしかしたらポーション作りでも活かされていたのかもしれないね。
そんな事を思っていたら、屋敷に戻って紅茶を飲みながら休憩する事になりました。
「ねえ、先輩冒険者から見てレオ君の実力はどんな感じ?」
「単純な力はかなりのものがあり、既にお金を稼ぐだけの術も持っております。ただ、如何せん体が小さいのと、冒険者だけでなく人としての経験が不足しています」
「だよね。せめて、あと数年は無理な依頼をしないで体を大きくした方が良いよね」
紅茶を飲みながらデイジーさんが侍従さんに僕の事を聞いていたけど、やっぱり体の大きさと経験値が足らないよね。
いっぱい食べて体を大きくして、いっぱい色々な事を経験して学ばないと。
「アマード子爵領には暫く滞在しますので、その間に頑張って大きくなります!」
「ふふ、レオ君も気合が入っているわね。頑張ってね」
僕がふんすって気合を入れると、デイジーさんも侍従さんも僕の事を見てクスクスと笑っていました。
何かおかしい事でもあったのかな?
「さて、そろそろお風呂の時間ね。レオ君も一緒に入りましょう」
夕食前だけど、先にお風呂に入るみたいです。
そういえば、いつもは生活魔法で体を綺麗にしていただけだったから、お風呂はセルカークの守備隊の女子寮に入って以来だね。
僕はデイジーさんに手を引かれながら、浴室に入っていきます。
ゴシゴシ。
「レオ君は本当に体がちっちゃいね。私もこんな時があったのかな?」
「お嬢様も、昔は小さくて可愛らしかったですよ」
「ちょっと、それじゃあ今は可愛らしくないって事にもなるわよ!」
僕は、デイジーさんに体を洗って貰っています。
何だかとっても良い匂いがする石鹸で、お風呂もとっても豪華です。
一緒に侍従さんもお風呂に入っているけど、楽しそうに僕の体を洗っていました。
「ふぃー」
「ふふふ、レオ君とっても気持ちよさそうな顔をしているわね」
「本当ですね。とても愛らしいですね」
僕はお風呂に入ると、どうしても気持ちいい声が出ちゃうんだよね。
デイジーさんと侍従さんからも何か言われちゃったけど、こればかりは止められないね。
多分どのお風呂に入っても、気持ちいい声を出しちゃうね。
「うわあ、とても美味しそうです!」
「ははは、やはり賢いと言っても子どもだな。遠慮せずにたくさん食べなさい」
夕方はお肉を使った料理で、美味しそうな匂いに僕の目が輝いてしまいました。
そんな僕の姿を見たサイオンさんがニコニコとしながら声をかけてくれたので、僕はお肉をパクリと食べました。
「美味しいです。お肉が柔らかくて、ソースもとても美味しいです」
「ふふふ、レオ君も美味しいを連発するのね。とても良い笑顔よ。レオ君の笑顔を見れば、作った料理人もきっととても喜ぶはずだわ」
メアリーさんも僕の事をニコニコしながら食事をしているけど、本当にとても美味しいですよ。
僕はあまりの美味しさに、一気にお肉を食べちゃいました。
他の人達も、僕の食べっぷりをニコニコしながら眺めていました。
そして、夕食後は予定通りデイジーさんと一緒に寝ます。
ですが、僕は温かいお風呂と美味しい食事を堪能したら、すっかり眠くなっちゃいました。
「むにゃむにゃ……」
「うふふ、レオ君はカッコいいのと可愛いのが混在しているわね。今は赤ちゃんみたいでとっても可愛いわ」
僕はデイジーさんと一緒にベッドに入ると、直ぐに眠ってしまいました。
デイジーさんは、眠ってしまった僕の頭を撫でながらいつまでもニコニコとしていました。
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