第三話 突然の襲撃
僕が村を出てから五日目、街道を進んでいた馬車にアクシデントが襲いました。
それは、昼食を食べる為に一旦街道の端に馬車を止めて皆で休んでいる時でした。
「ほら坊主、パンでも食べろ」
「うん」
僕は横倒しになっている木に座りながら、行商人の護衛である青い髪をオールバックにしている剣士からパンを貰ってもぞもぞと食べていました。
僕の横では、他の護衛である赤い短髪とスキンヘッドの大柄な人と恰幅の良い行商人が馬車と馬を見ながら話をしていました。
「あと半日もあれば、セルカーク直轄領に着くな」
「ああ。坊主はそこでは売らないけど、ちょっとした上客と話すことがあるんだよ」
「また儲け話か? ダンナは頭が切れるな」
「ははは、今回は儲け話をするんじゃないんだよ。でも、話を聞くのも大事な仕事だ」
恐らく商売の話をしているんだと思うけど、僕にはいまいち良く分からなかった。
でも、次の街までは半日で着くんだってそう思いました。
そしてパンを食べ終わって、荷馬車に乗ろうと木から立ち上がってぱんぱんとお尻をはたいた時でした。
しゅっ、グサッ!
「ギャー!」
「くそ、襲撃か」
「荷を守るぞ、直ぐに出発だ!」
突然商人の護衛である、スキンヘッドの護衛の足に矢が刺さったのだ。
スキンヘッドは痛みからなのか、地面に転がりながら矢の刺さった足を抱えていた。
他の護衛は、行商人を守るように剣を抜いて森の方に視線を向けていた。
そして行商人と共に、馬車を出発させようと急いで乗り込もうとしていた。
一方の僕はというと、咄嗟に頭を抱えながらしゃがみ込んでしまった。
だが、結果的に僕の取った行動は正解だった様です。
しゅしゅしゅ!
グサッ、グサッ、グサッ!
「うおっ」
「ぐあー!」
「痛い痛い痛い!」
「えっ、あっ」
森から更に複数の矢が飛んできて、行商人と護衛に突き刺さったのだ。
よく見ると、最初に矢が刺さったスキンヘッドの頭にも複数の矢が刺さっていて、スキンヘッドは全く動かなくなっていた。
僕は行商人と護衛の上げた悲鳴に一瞬顔をそちらに向けたけど、スキンヘッドの惨状を見てまたもや視線を下げて目をつぶってしまった。
「「ヒヒーン!」」
「ぐあ、暴れるな、暴れるな!」
更には荷馬車をひいていた二頭の馬にも矢が刺さったらしく、馬は痛みのあまりに大暴れをしていた。
咄嗟に赤い短髪の護衛が馬をどうにかしようとしたけど、全く手におえなかった。
ガサガサガサ。
「おーおー、今回は当たりっぽいぞ」
「そうだな、中々の上客だな」
「へへへ。直ぐに殺してしまって、さっさと獲物を奪って帰るか」
そして、がさがさと森から音がしたので音のした方を振り返ると、森の中から五人の男が現れました。
全員が手に剣を持ち、何か良いものを見つけた様なニタニタとした不気味な笑みを浮かべていました。
僕は咄嗟に馬車の影に隠れて、森から出てきた男達の様子をうかがっていた。
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