第四話 残虐なバラス一家

「ぐ、くそ。その緑色の短髪、バラス一家の者か?」

「おっと、俺達の名前を知っているとは。お前は中々物知りだな」

「はは、この辺りでバラス一家を知らない奴はいないさ」


 赤い短髪の行商人の護衛は、森から出てきた男達の事を知っている様でした。

 赤い短髪の護衛は矢を受け汗だくになりながら緑色の短髪の男を睨みつけていたのですが、緑色の短髪の男は関心した様に腕を組んでいました。


「うわ、うわ、うわうわうわうわー!」

「おい、よせ。焦るな! 止まれ!」


 と、ここで青いオールバックの男が、大剣を手にして突然緑色の髪の男の元に走っていきました。

 青いオールバックの男の表情が目が血走ったりよだれを飛ばしながらと、とってもヤバい事になっています。

 赤い短髪の男が青いオールバックの男を止めようとして叫ぶけど、青いオールバックの男には全く聞こえていないようです。


「はあ、気が狂った馬鹿がいるよ。やっちまえ」

「はいはい、馬鹿にはお仕置きが必要だな」

「うわーーーー!」


 緑色の短髪の男がため息をつきながら、隣にいた暗めの茶髪のロングヘアの男に指示を出した。

 そして、茶髪のロングヘアの男が右手を上げると、突如として男の顔の大きさ位の火の玉が出来上がった。


「そらよ」


 しゅ、ぼっつ。

 ボーーー!


「ぎゃーーーー!」

「ははは、馬鹿は良く燃えるなあ」


 そして茶髪のロングヘアの男が火の玉を投げると、青いオールバックの男に火の玉が当たって一気に燃え広がった。

 青いオールバックの男は悲鳴を上げながら地面を転がっていたけど、やがて真っ黒こげになって動かなくなった。

 そんな青いオールバックの男の様子を、茶髪のロングヘアの男を指しながらお腹を抱えながら大笑いしていた。

 こんな状況で笑えるなんて、この茶髪のロングヘアの男は誰がどう見たって狂っているよ。


「さて、こちらも時間がないのでな。さっさと終わらせて貰うぞ」

「ちっ、俺もただでは終わらないぞ!」


 赤い短髪の護衛が、剣を手にして緑色の短髪の男目がけて走り出した。

 だが、緑色の短髪の男の前に緑色のツンツン頭の男が、短剣を手にして立ち塞がった。


「せい、やあ!」

「ぐっ、中々やるな。だが、傷だらけの体ではもう限界だな」


 緑色のツンツン頭の言う通り、赤い短髪の髪の男は体に何本もの矢を受けていて出血も多い。

 最初は緑色のツンツン頭の男を圧倒していたけど、直ぐに動きが悪くなった。


 どしゅ。


「ぐぶぅ」

「まあ、良くやったよ。雑魚にしてはな」


 バタン。


 そして、隙をついた緑色のツンツン頭の男が、ニヤリとしながら赤い短髪の男の胸に短剣を突き刺した。

 赤い短髪の男は、口から血を吐きながら地面に倒れて動かなくなった。

 

 どさ。


「ひっ、ひいいい!」


 この惨状に馬車の物陰に隠れていた行商人が、腰をぬかして尻もちをついてしまった。

 かなり怯えた表情をしているが、護衛が全て死んでしまってどうしようもなくなっていた。


「ほら、お前はこっちに来るんだよ」

「へあー!」


 緑色のツンツン頭の男が、面倒くさそうに行商人の襟首を掴んで引きずってきた。

 行商人は、わけの分からない言葉を発しながら手をバタバタとさせていた。

 

 ぽい。


「はぐっ」

「ははは、醜い格好だな」


 緑色のツンツン頭が行商人をポイっと投げ捨てると、あの茶髪のロングヘアの男が高笑いをしていた。

 怯えた顔をした行商人は、失禁をしたのかズボンが濡れていた。


「あの赤い髪の護衛は、腕はまあまあ良かったなあ。まあ、俺らに目をつけられた時点で終わりって事だ」

「ひぃぃぃぃぃーーー!」


 あの茶髪のロングヘアの男がまたもや手に火の玉を出しながら、にやにやとして喋っていた。

 行商人は真っ青な顔をしながら、声の限りに叫んでいた。

 しかし、それも直ぐに終わってしまった。


 ぽい。


「ぎゃーーーーーーーー!!!!」

「ははは、肥えた豚は良く叫ぶなあ」


 茶髪のロングヘアの男は、火だるまになった行商人の断末魔の叫びを聞きながら笑っていた。

 そして脂の焼け焦げた嫌な匂いを放ちながら、行商人は真っ黒こげになって動かなくなってしまった。

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