第26話 ひらめき

「ちょっとスタバででも話をしない?一旦整理したいわ」

「そう……だな。色々情報は手に入ったな」

スタバに入ると端の二人がけテーブルが丁度空いている。荷物を置いて確保しオーダーに。

「何がいい?」

「私は自分で頼むから大丈夫」

内心ホッとしながらコーヒーを注文する。高いからなあ。高校生の小遣いではなかなか厳しいものがある。

「上中はバイトとかしているのか?」

「バイト、というかはわからないけど親の手伝いをちょっとね」

「偉いなあ。お店でもしているのか?」

「まあそんな感じ」

どこか話したくなさそうな顔をしている。深堀りするのはやめておこう。


「さて……とりあえず色々明智に関する話は聞けたわけだが」

「そうね。で、結論から言うといじめとか嫌がらせではなさそうと思ったわ。そんな感じはしなかった」

「そうだな。嫌われている感じはなさそうだった。浮いている可能性は大いにあるが、それだけという雰囲気だったな」

「あんまり明智さんのことを理解しているわけではないけど、嫌な子という風ではなかったわね。むしろ個が強い点がいい、みたいに思われてそう」

「そうだな。しかしそうなると……なぜ教科書がトイレに? 嫌がらせ以外の可能性が思いつかないんだよなあ」

「そうね……」

沈黙が訪れる。とりあえず沈黙をごまかすためにコーヒーを飲んでみるが……


「嫌がらせのではないとすると、逆に好意ということかしら?」

「好意でトイレに置くか? さすがに理解できないぞ」

「明智さんがトイレに教科書を落とした、それを回収して置いてあげた」

「使ってないトイレだと言ってたしなあ。落としたら気づきそうだ」

「そうね……じゃあ嫌がらせでも好意でもないとしたら? 例えば明智さんのだと気づかないで、誰のかわからないからトイレに置いたとか」

「トイレに落ちていたら可能性はあるが…… トイレを使っていないという前提がある限りなあ」


「教室からトイレに持ち込んだ人がいるとか?」

「そんなこと…… ん? 待てよ?」

コーヒーを飲みながら俺はとある可能性を考える。


「例えばだが……」

 俺は思いついたことを上中に話してみる。

「なるほど。そうねえ、その可能性はあるわね。しかもそれをしそうな人は一人しかいないと思うわ」

「誰?」

「それは……」


「ありうるな。明日確認してみるか」

「ええ、朝にでも確認してみましょう。本人の記憶があるかだけど……」

「その点は神に祈るしか無いな。覚えてないと言われたら迷宮入りの可能性が出てくるよ」

「まあそんなに前の事じゃないし大丈夫でしょう」


次の日、俺達は少し早起きしてとある場所へ向かう。

……


確認が完了。無事記憶があるとのことだった。あくまで可能性でしかない話だったが無事真実にたどり着けたようだ。あとは明智と話をするだけだな。

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