第22話 同族嫌悪?
「もうちょっと明智に関する話を聞きたいなあ」
部活終わりの帰り道、上中と話をする。
「もう後藤さんには聞き終わったでしょ?」
「次は普通のクラスメイトかな。誰か知り合いいない?」
「一年の知り合いは、写真部以外ではいないわね。バスケ部も仮入部の頃にやめちゃったから」
「そうだよなあ。俺もいない、となると……直撃だな」
「クラスに行くってこと?」
「ああ、後藤が確か3組だから一緒だろう。明日放課後3組に行くぞ」
「もう少し客観的な意見を聞きたいってことね」
「そう、それだ」
「いきなり一年生のところ行ったら不審者扱いされない?」
「まあ制服着てるし大丈夫だろ」
「野口君って行動力が凄いね」
「そうか? これくらいなら普通じゃないか?」
「いいえ。私だけだったら一年生に話を聞こうなんて思わないもの」
「まあ人間得意不得意があるからな」
「おっす」
後ろから叩かれて振り向くと森下だった。
「どう?調子は」
「ああ、明智に関しては色々話を聞いて回ってるところだな。まずはどんな人なのかを把握している段階だよ」
「なるほどね。どんな子かわかってきた?」
「とりあえず個が強いタイプだとは理解したよ。芯が通っているというか」
「確かにそれはあるね。私的にはみおちゃんといろいろ似ていると思うよ」
「私? そう?」
不思議そうな顔をする上中。俺もピンとは来ていないが、二人と仲が良い森下なら分かるところがあるのだろう。
「まあ野口君はまだわからないかも、だけど! とりあえず相談乗ってくれてありがとうね! じゃあ!」
そういうと森下はバスケ部の友達のところへ戻っていった。
「私と明智さんが似ている……のかしら」
「誰でも誰かとは似ているんじゃないか」
「なのかもね。ただあの子なんとなく合わない気がするの。なぜかはわからないけど」
少し不満そうな上中。
「同族嫌悪ってやつなのかもな。まあそのあたりももう少し話聞くと色々見えてくるんじゃないか」
「おーい野口。写真部の夏休み活動予定を早く出すように部長に伝えてくれるか?今月中だからな。部長に言っておいてくれ」
放課後、授業が終わると松中先生から話しかけられる。特に部活に顔を出すこちはないが顧問なので早く出さないと怒られそうだ。
「わかりました」
「基本的には先生は必要ないが、学校の施設を借りたりする時は必要だからな。何かあれば相談してくれ」
「はい、伝えておきます」
面倒なので部長に電話する。
「もしもし」
「あ、お疲れ様です。今松中先生から夏休みの活動に予定を出すように言われまして」
「あ、ああ。任せておけ。絶賛計画中だよ」
「今月中らしいですが大丈夫ですか?」
「今週一回、全員での会議を設定する。そこで決めてしまおう」
「了解です、よろしくお願いしますね」
「木曜日、四時に全員部室に集合。夏休みの話をする」
すぐに部長からグループにメッセージが届く。早いな。こうなることを予期していたのだろうかというレベルだ。だがまあ大体部長は動きは早いが動くまでが遅いという性格だ。きっと今慌てているだろうな。
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