第15話 残された謎


 残された上中と俺。

「なあ」

「どうしたの?」

「言わない方が良かったかな?」

「いや、私は言って良かったと思うけど。変な人に盗撮されたりした大変なことになっていた可能性もあるわ。ただまあ…… 私が言ったほうが良かった可能性はある。男子から言われるのは恥ずかしかったかも」

「だよなあ。もう森下とは友達になれない可能性があるな」

「大丈夫よ。彼女にとって貴方はもう友達だと思うから。彼女にとっては皆等しく友達よ」


「ああ、そういうタイプか。しかし、周りのやつも言ってあげても良かったのにな。乃木とかも気づいていたんだろ。指摘するものじゃないか?」

「バスケ部はね…… 複雑だから。仲良くしているけど、仲良くはないのよ。あ、誤解しないでね。みなみ目線では皆友達よ? ただ、遠い友達ってだけ。後、みんな優しいからね」

「ちゃんと言ってあげるのが友達だと思うけどな」

「あなたの中では友達はそうなんでしょうね。バスケ部の中では違うのよ。まあそれが良いことだとは私も思わないわ。ただそういうものだってこと」

「森下にはそういう友達はいないのか?」

「そういうって?」

「森下のことをきちんと気にかけてくれる友達だよ。スカートが捲れていることさえ指摘してもらえないとなると、こう…… 心配になってきたよ」

「うーん、私はそうありたいと思っているけど、あの子はなかなか心を開かないから。心を開いていないのが長くいると伝わってくるの。だから皆ほどほどの距離で付き合ってるのじゃないかしら」


思ったより深い問題がありそうだな。まあ直接的な悪意は感じないが…… それでいいのか、という思いがモヤモヤするところである。

「何を悩んでいるの?」

「いや、これで解決でいいのかなと。また同じことが起こったときに誰もフォローしてくれないのは寂しいなと思っただけだ」

「そうね…… かと言って何か出来ることはあるの?」

出来ること、か。確かにそうかもしれない。友達のあり方についてバスケ部のやつに講釈垂れるのも違うだろうし、普通に考えるとお前は誰なんだ、となるだけだろう。しかし…… 寂しさを感じるのも事実ではある。


「とりあえず帰るか…… 明日からは尾行しなくて良さそうだな」

「そうね。この生活にも慣れてきて尾行のスキルを手に入れた気がするわ」

「俺達探偵として就職できるかもな。漫画やアニメと違って実際の探偵は不倫やらの張り込みや尾行が多いらしいぞ」

「いいわね」

 上中ととりとめもない話をしながら帰宅する。

「そういえば写真部はどうするんだ?」

「ああ、そうね。もし問題なければこのまま活動したいのだけど。友達もできたし、やりたいこともあるしね」

「おお、大歓迎だよ。何をやりたいんだ?」

「まだふわふわしているから…… ある程度固まったら話すわ」

「おっけー。やりたいことが出来るのはいいことだな」

「ありがとう。バスケ部辞めてから何もなかったから、良い機会になったわ」

 とりとめもないもない話を続け解散する。


 帰り道、電車に揺られながらこの後どうするかを考えるも答えはでない。

「うーん、どうするかなあ」

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