第14話 真相
翌日の朝、森下に着いて行くも今日も何もなく終了する。そのまま誰もいない教室。
「で、何でリュックサック?」
「あ、ああ。森下と同じ状態を確認したくてな、でちょっと……」
俺は、気づいたことを説明する。
「はあ、なるほど。それで、実際にそうなるのか試したいってことね」
……
紆余曲折あるも、無事検証は完了した。中々大変だったが、勢いでなんとかなるものだ。
「ちょっと思ったのだけど」
まだ少し顔が赤い上中が言う。
「これだったら、誰か目撃者がいるんじゃない?」
「確かにそうだな…… 朝の話だとしたら、一緒に朝練しているバスケ部の奴なら目撃している可能性があるか?」
「そうね、部活終わったら聞いてみましょうか」
「明美さん、ちょっといい?」
「久しぶり、どうしたの?」
森下と喧嘩したばかりだから、1人早足で帰ろうとする乃木を捕まえる。
「ちょっと聞きたいことがあって……」
「ああ、たまにあるよ。朝は忙しいからね〜」
「教えてあげたことある?」
「ないない。意地悪をしているわけじゃなくて、気づいていないなら言ったら変に気にしちゃって可哀想かなって」
「なるほどね。リュックサックにしてから?」
「そうだね。2年生になってからくらいじゃない?」
「ありがとう、助かったわ」
「あ、森下とは仲直りしたか?」
「聞いたの? 恥ずかしいなあ、まあ、うん。大丈夫だよ」
「そうか、良かった」
「じゃあね」
仲直りした、とは言わずに去っていく乃木を見送りながら、謎が明らかになった喜びと、その裏の事実への違和感で一杯になる。
「まあ、一応これで事件は解決なのかなあ」
「ええ、この事象に関してはいいんじゃないかしら? もっとも……」
「そうだな。ただ、俺らに出来ることはあるか?」
「そうね…… いえ、ないわ」
「とりあえず、森下に報告するか」
友達と校門に向けて歩く森下を捕まえる。
「森下、ちょっといいか? 話があるんだが」
「わかった! じゃあちょっと先行っててー」
森下を連れ出すことに成功する。とりあえず人が誰もいない中庭に向かう。完全下校時間までまだ少し余裕があるのでそこまでに話してしまわないと。
「とりあえず手紙の件、わかったぞ」
「そうなの? 犯人がわかった?」
「いや、それはわかっていない。だからおそらく、という可能性の話になるが…… 1つ説明がつく状況がわかった」
「状況?」
「スカートがリュックサックに挟まって捲れていた。ということじゃないかと思うんだ」
「一応実験してみたけど、お尻が全部見えるほどだと気づくけど、多少なら気付かないのよ。で、それを見た誰かが心配して手紙を送ってくれたんじゃないかということね」
「待って、丸だしで歩いていたってこと……?」
「いや、程度はわからないぞ。しかもおそらくだが、朝の時だけだと思う。さすがに帰り道でそうなっていたらもっと話題になっているだろうからな。早朝だからそれほど目撃者もいないはずだよ」
恥ずかしそうに顔を赤くする森下をフォローする。確かに想像すると恥ずかしいな……
「わかった! ありがとう! とりあえず気をつけるね」
変わらず顔を赤くしたままそそくさと森下は帰っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます