第7話 可能性の模索

そこから1週間。とくに収穫がない日々が続いたため、俺は緊急会談を上中と開いた。カフェでの話し合いだ。森下が部活中の時間を使って、今後の方向性を話し合うことにしようと思う。


「何も起きないな」

「そうね…… パンツが見えたくらい?」

「うーむ、その話は置いておこう。とりあえずどうするかだな」

 森下が一回投稿中に突然ずっこけた事があった。思わず見てしまったが仕方がない、はずだ。

「そうねえ、そもそも不審な生徒自体がいないものね」

 そう、まずこの一週間で複数回遭遇した生徒自体が少ない。それこそ林のような同じ部の子か、後は平野か。野球部は朝も練習熱心だからかよく登校している姿を見かけるが、それくらいだ。


「まず犯人像をクリアにしてみようか。そこがまだ曖昧なんだよな……」

 コーヒーに手をつけながら考える。

「まず、手紙を靴箱に出してきた。その時点でそれほど近い距離の人間ではないんだろうな。直接言ってこない時点で根暗と見ていいだろう……」

「それはどうかしら。脅迫をするにあたって堂々とする人は少ないと思うけど。身元がバレないようにした可能性もあるわ。むしろ最近あったイベントに私は注目すべきじゃないかと思うんだけど。」

「最近あった出来事?」

「ええ、今脅迫、ストーカーってことは何かきっかけがあったんじゃない。この1ヶ月とかで何か出来事があったと見る事もできるかなと。ただ、彼女は最近告白されたりした様子もないし、友達トラブルが起きた様子もないけど」

「なるほど。森下関連で最近何かあったかなあ」


「1つ、1ヶ月くらい前に「自称森下ファンクラブ」の人が私に話を聞きに来たことがあったの。彼女と仲良いだろうから色々話を聞かせて欲しいって。最近できたようだったの」


「ファンクラブ、か。メンバーはわかるか?」

「話しかけてきたのは三宅くんね。何人かいるみたいだけど良くわからないわ」

「三宅か。それは話を聞いてみるしかないな。あいつ今何しているかな…… そういえばこの事件の話はしない方はいいよな?」

「ええ、辞めておきましょう」

 三宅は卓球部に入っているが、確か卓球部の活動は週に数回しかないはず。呼べば来てくれるかもしれない。俺は三宅に電話をかける。


「おー三宅。今部活か? そうか、ならちょっと話せないか。今駅前のカフェなんだが。上中もいるぞ。おーオーケー待ってるわ」

 暇をしていたらしい三宅を確保する。

「今から来るってさ。さて何を聞こうか」

「まずそれ決めてから呼んだ方が良かったかもね…… まあ行動力は尊敬するけど」

 急いで二人で確認内容を調整するのだった。

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