いけいけ勇者様61

最上司叉

第1話

【カタ】


【ポイッ】


【シュー】


「…」




勇者は突然冷たい液体を顔にかけられ見知らぬ部屋で目を覚ました。


「!!」


「やぁ久しぶりだね」


「!!お前は」


「この前は僕のクローンを倒してくれてありがとう」


白衣の男は怒りながら言った。


クローン?何を言っているんだ?白衣の男は確かに倒したはずだ。


「訳が分からないといった顔ですね」


「あぁ当たり前だ」


「貴方が倒したのは本物ではないんですよ」


「?」


「まぁそのうち分かるでしょ、しかしあの薬を打たれて平気な人間がいるとは」


「…」


不死鳥に治してもらったことは絶対言ってはいけない。


この男のことだから喜んで不死鳥も実験台にされるに決まってる。


「黙りですか」


「…」


「まぁいいでしょ、貴方には実験台になってもらいます」


「…」


やっぱりか。


覚悟はしていたがはやく白衣の男を倒して逃げなくては。


勇者はその時ふと思い出した。


『おかしな動きをしている国があります』


「…」


白衣の男だけじゃないのか?それにここはどこなんだ?闇雲に動くにも危険だ。


とは言っても実験台になる訳にもいかない。


勇者はどうすれば良いか考えていた。


「まぁいいでしょ、連れてきなさい」


【パンパン】


白衣の男が手を叩くと暗黒の勇者が姿を現した。


【ガシッ】


勇者は今はまだ抵抗しないで様子を見ることにした。


勇者は後ろ手に手錠をされていて鍵は白衣の男が多分持っている。


勇者の武器と鎧は当然ない。


ここに連れてこられたのが自分だけなのかも分からない。


どうすれば良い?勇者は必死に考える。


【プスッ】


勇者の首に何かの薬が打たれた。


勇者は全身の力が抜ける。


「大丈夫ですよ、ただ抵抗できなくしただけです」


勇者の手錠が外されベッドに横たえられる。


「先ずは血液でも取ってみますか」


勇者の腕に注射器が刺され血を抜かれていく。


「あの薬が何故効かなかったのか調べないと」


「…」


勇者は少し安堵した。


少し時間が稼げるからだ。


2人組が勇者がさらわれたことに気づいて助けにきてくれるかもしれないからだ。


新しい王様との夕食会で王様はそう言っていた。


わずかな希望にすがるしかなかった。


「ん?おかしいな普通の血液とそんなに変わらないぞ」


白衣の男は顕微鏡で勇者の血液を見ている。


「あの薬を混ぜてみますか」


「…」


「ん?ぉぉお!これは!」


勇者は何が起きているか分からない。


「面白い」


そう呟くと白衣の男は手を叩いた。


勇者は暗黒の勇者に手錠をかけられ何処かの部屋に監禁された。


勇者には死なない程度の食事が出された。


勇者は出された食事を全部食べた。


そして反撃の機会を伺った。

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