第二章 雪原の村

 風が吹き荒れる中、エーヴェとエクランダルは厳しい雪原を進んでいた。彼らの前には果てしなく広がる白銀の世界が広がっており、足元には深い雪が彼らの進行を遅らせていた。視界は吹雪によってほとんど奪われ、周囲の景色は白一色に染まっていた。彼女たちは、世界を救うための旅の途中で、この過酷な雪原を横断していた。



 吹雪の中、真昼でも視界は限られていた。エーヴェとエクランダルは厳しい雪原を進む途中、狼の群れに襲われた。周囲は白い雪に覆われ、吹雪が二人の視界をさらに奪っていく。突然、周りの雪が動き出し、それが狼たちの姿となった瞬間、エーヴェとエクランダルは警戒態勢に入った。


 エーヴェは迅速に行動し、杖を地面に突き立てた。彼女は深呼吸をし、深く念じ始めた。その間、エクランダルは剣を構え、エーヴェを守りながら、狼たちの最初の攻撃を迎え撃った。彼の剣が狼の一匹をはじき飛ばすと、その衝撃で周囲の雪が舞い上がった。


 エーヴェが目を「カッ」と開くと、杖から神聖な光が放たれ、吹雪の中、狼たちを直接照らし出した。光は狼たちを一瞬で静止させ、彼らの動きを封じる奇跡を見せた。狼たちは混乱し、その場から逃れようともがいたが、光は彼らを包み込み、動けなくさせていた。


 この神聖な光による一時的な平和の中、エクランダルは狼たちを一匹一匹丁寧に見て回り、彼らがこれ以上脅威にならないようにした。エーヴェの杖からの光は次第に弱まり、狼たちが解放されると、彼らは恐怖を感じて、吹雪の中へと消えていった。


 戦いが終わり、二人は互いを見つめ合った。エーヴェの顔には安堵の表情が浮かび、エクランダルは彼女の力に感謝の意を示した。彼らは再び村への道を歩き始めた。吹雪は依然として彼らを困難な状況に置いていたが、この戦いを乗り越えたことで、彼らの絆はさらに強固なものとなり、目的地への決意を新たにした。


「もうすぐ夜が訪れます。避難所を見つけなければならない…」エクランダルが声を張り上げた。彼の声は風にさらわれ、ほとんど聞こえないほどだった。

 突然、エーヴェが足を止め、徐に足元の石を拾う。


 エクランダル:「何をしているんですか?」

 エーヴェ:「右斜め前!」


 と叫んだ。彼女が指さす方向を見ると、遠くにぼんやりと灯りが見えた。二人は新たな希望を胸に、その光に向かって進み始めた。雪が深く、進むにつれて体力は消耗していったが、灯りのある方向へと進むことで心は温かく保たれていた。


 やがて、彼らは雪に覆われた小さな村にたどり着いた。村は雪でほとんど隠れていたが、幾つかの小屋からは暖かい光が漏れ出ており、人々の生活の気配が感じられた。エクランダルとエーヴェは、村の入り口で一瞬立ち止まり、互いに安堵の表情を交わした。


「ここなら、少しは安らげるかも。」エーヴェが微笑んだ。エクランダルは彼女に頷き、二人は村へと足を踏み入れた。吹雪の中、彼らが見つけたこの小さな避難所は、彼らの旅の中で新たな章の始まりを告げるがごとくその光は吹雪の中で…


 村人A:「あ?冒険者?なんだいなんだい、どうしてこんな辺境の地に、ドラゴンの住処とは反対方向じゃないか!」

 エーヴェ「君たちにはわからんだろうな。」

 村人B「いや説明してくれよ…というか聖騎士さん兜取れよ…」

 長老「フォッフォッ、いやいやこれは失礼、何せここは辺境の辺境、また辺境、外のものとは関わりが薄く周りへの警戒があるのです。して、ドラゴンの住処とは反対方向の我が村へ何故?」

 エーヴェ:「それは…」

 村人A:「説明できないんじゃないか!昔居たよなあ世界を救う冒険者だとか言ってこの村から食糧を簒奪した奴らがよ!」

 エーヴェ:「いやそのことを私たちに当てはめて貰っても困るんだが…」

 エクランダル:「神に誓ってあなた達の食糧を簒奪したりはしない!ただここで一晩泊めてもらうだけでいいのです!」


 村人Aが唾を吐き捨てて部屋から出ていく。其れに続き他の村人も部屋を出る。


 長老:「すみません、彼が幼い頃その簒奪によって村の備蓄はなくなり、その年飢饉が起こり彼の両親は…」

 エクランダル:「それは…我々が無神経すぎました。」

 エーヴェ:「…」


 気まずい空気が場を支配する。エーヴェは一心不乱に手を暖炉へと当て、エクランダルは手を組んで祈っている。この空気を最初に破ったのは長老であった。


 長老:「もし…」

 エクランダル:「もし?」

 長老:「もし良ければ…」

 エーヴェ:「ポカーリス」


 エーヴェはさっきと逆の方向を向き、背中を温めながら言った


 長老:「なっ!!」

 エーヴェ:「古の昔、この雪原には守護神である大きな白いクマがいた、しかし500年前…」

 長老:「そう、あの500年前あの大厄災のドラゴンの瘴気によって、変異した名を…【ポカーリス】、その能力によって、ここ一体は年中吹雪の中、作物は我々が暮らす最低限のものしかなく、豊作と吹雪が晴れることへの祈りと口減しのために赤ん坊を捧げる物までいます。」

 エクランダル:「其れはひどい!エーヴェさん!」

 エーヴェ:「うん、分かってる、というかそのために来た。」


 この夜、二人は長老たちと共に、暖炉のそばで体を温めながら、これからの冒険について話し合った。外はまだ吹雪が続いていたが、小屋ではは束の間の休息の時間が流れていった。



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