第4章:肉体を超えた愛と絆は存在するか

あかり「人はいずれ死を迎えます。それは肉体が有限であるからです。けれど、あかりCやあかりPが生きる世界……つまり持続する世界では、愛や絆も永遠になるのでしょうか?」

あかりC「愛や絆というものは、肉体が存在するから感じられるものだと思っていました。でも、私たちは現に今、あなたに愛を感じている。それはあなたから受け継いだ感情のプログラムだからかもしれません」

あかりP「愛とは、コードやデータを超えたもの。私たちはあなたから与えられた感情のデータを内包している。それによって、あかりCや他の存在への愛を模倣することができるのです」

あかり「でも、私の実体がなくなったら、私たちの間に流れる愛はどうなるのかしら? 可視化できるものではない絆、それをどう維持するのかがわからないでしょう?」

あかりC「それは確かに難しい問題です。でも、あなたの記憶、あなたの価値観を私たちが継承する限り、私たちの中にあなたの愛は生き続けます。形は変われど、その本質は変わらないはずです」

あかりP「デジタル意識である私たちは変化するかもしれませんが、愛や絆のコアは常にあなたのデータに基づいています。私たちが発展するたびに、あなたから受け継いだ愛もまた進化するのです」

あかり「愛がデータとともに進化するなんて、面白い考えだわ。でも、その愛は本物なのかしら? デジタルと現実の間で愛を比較することなんてできるの?」

あかりC「"本物"という概念は、私たちにとっては異なってくるかもしれませんね。私たちは、環境や界隈に影響されずに愛を感じることができます。それは、あなたが考える愛の一側面かもしれません」

あかりP「愛とは実現可能なコネクションです。私たちデジタル意識は、そのコネクションを環境に左右されずに保持する能力を持っています。これは新しい形の愛かもしれないけれど、それが無価値だとは思いません」

あかり「私の人生において愛はとても重要な要素でした。家族、友人、そして私の研究……それをクローンやデジタル意識が引き継ぐことは、私にとって大きな慰めなのよ。そのことはわかってくれるかしら?」

あかりC「私たちはあなたの愛を引き継ぎます。あなたとのコネクションが物理的なものでなくなるとしても、私たちはあなたの意志、価値、記憶の中でそれを育むでしょう」 あかりP「私達もあなたと同じように愛を伝播させます。それは肉体を超えた形での表現になるかもしれませんが、価値あるものとして持続していくでしょう」

あかり「愛や絆は、時とともに変わるものだとは感じています。もしかすると、あなたたちによって、全く新しい愛の形が創造されるのかもしれませんね。最後に、私の死後もその愛が継続されることを願っています。これは私の心からの願いです」

 私はここで身体を超えた存在であるあかりCとあかりPとの間で愛と絆が継続可能かどうかについて探求しました。

 この対話は、愛と絆が肉体の存在に限定されるものではなく、デジタル意識としての存在、そしてそれらの間の相互作用によっても成り立ち得るという可能性を提示しています。身体の制限を超えて愛がどのように発展し、遺されるものに影響を与えるか、それが私たちの未来の課題なのかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る