2-4.クソビッ乳

 ドラゴには情報を渡し、そして周囲への誤解も解いて貰い、更には宿屋を紹介してもらった。


 庶民的な宿屋ではあるが、ここにドラゴ達も宿泊しているらしい。Sランクハンターならばもっと良い場所に泊まっていると思ったが、彼曰く余計な出費をなるべく抑える為だそうだ。


 オレとプニマはそれぞれ一人部屋を取り、チェックインも済ませ、今は宿屋の食堂にて歓談をしている。


 時間帯は昼をとっくに過ぎているが、ドラゴの口利きもあり、特別に出して貰ったご飯を食べながら――


「わぁ……! 魔導師のバッジ、本物です……!」


 ――プニマが見たいと言って来たので渡してみれば、掲げながらキラキラした眼でずっと見ている。


 あどけない顔にキラキラが乗ってくぁわいらしさが留まるところを知らないな。純真無垢なロリのキラキラは、世界を照らす太陽のようだ。


「夢中になるのも良いが、スープが冷めてしまうぞ」


「あっ、ごめ――」


「謝罪はいらない。それ以外の自由な言葉で返してくれたほうが嬉しい」


「は、はい……。……もうちょっと、見ても良いですか……?」


「もちろん」


「ありがとうございます……!」


 プニマにとって、どのような感情でキラキラした眼をバッジに向けているのかは分からない。だが、見たいという気持ちが溢れていることは確かだった。


「欲しいのならばやるぞ」


「い、いえ、欲しい訳では……。デルコイノさん、凄い人なんだなぁ、って、思って……。そんな凄い人が私を助けてくれたんだって思うと、わぁ……! ってなるんです……!」


「そうか。それほどまでに『わぁ……!』って思ってもらえると、こちらもなんだか照れてしまうな」


「照れ、て……? デルコイノさんのお顔、キリっとしたままですよ……? 照れてるんですか……?」


「オレはどうやら表情には出辛いらしい。だが、顔に出ないだけで人並みの感情は持ち合わせている」


「……デルコイノさん……照れてるんですか……」


「ああ」


「…………なんだか私も照れてきちゃいました……」


 そういうと、プニマはおずおずとバッジを返してきて、縮こまりながら頬を赤らめ始めた。


 あぁ、その顔を前にして食べるマッシュポテトはなんと美味なのか。健気なロリの愛らしさは眼で見るだけでオカズになり得る。


「あの、デルコイノさん……。デルコイノさん……!? ぁわ!? ポテトがどんどん減ってます!?」


「美味い美味い」


 手が止まらん。


 おっと、止まらん手を見て宿屋の店主がマッシュポテトを追加してくれた。


 美味美味。


「それで、どうした」


「あ、そ、その……。……照れて黙ってるより、お話したいなぁ……って、思って……。お名前、呼んじゃいました……。あ、でも、でも、お話したいことはちゃんとあるんですよ……! ギルドでドラゴさんと難しそうなお話してるデルコイノさんかっこよかったなぁ、とか、このあとどうするのなかなぁ、とか、たくさん、たくさん……!」


「たくさんあるのならばたくさん話をしよう。この後など何処に行かなくても良い、ここに居ても良い、二人で話をすることを今日の目的にしようではないか」


「……はい」


 プニマは嬉しそうで控えめな微笑をしながら返事をする。


 きっと、恐らくだが、プニマにとって対等に人と会話をすることが久々なのだろう。故に会話をすること自体が楽しく、そして止めどなく言葉が溢れてくる。


 奴隷から解放された孤独な少女は、人との繋がりを欲し、それがより明確に分かる会話を求めているはずだ。ならばそれに答えるべく、オレも共に会話をさせていただこう。


 そうしてオレとプニマは言葉を交わす。だが、プニマの過去に深く立ち入るようなことは聞かない。孤独な奴隷となった彼女に過去を尋ねるのは、悲しみと寂しさを思いこさせてしまうから。


 今は楽しいと思える会話をしていれば良い。


 それは例えば、プニマが好きなもの。


「菓子が好きなのか」


「はい。甘い物が好きで……で、でも、しょっぱいものも……! あ、でもでも……! 沢山あって選べません……!」


「好きがたくさんあるのは良いことだ。あとで町の菓子屋にでも――」


 例えば、オレが旅の中で見て来た面白いモノや風景。


「逆さに降る雪……ですか……?」


「ああ。豪雪地帯を旅していた際に遭遇した。雪原から空へ、白い雪が上って行くのだ。地元の者達に尋ねてもメカニズムは分からなかったが、そういった不思議な現象が起こるところには大抵面白い伝承が残っているものだ。恐ろしい話から御伽噺のような話まで、様々な話が聞けて中々に興味深い」


「はわぁ……すごい……。あのあの、ちなみに、その逆さに降る雪について伝承は――」

 

 そうして二人で、何気ない話をしながら、時に笑い合いながら、時に店主から紅茶を差し入れてもらいながら、オレ達はただひたすらに何気ない言葉を交わしつづける。


 ――


 ――


 ――


 気が付けば、窓に見える空には夕焼けの赤が滲み始め、じきに夜へと変わると空が告げていた。


 宿屋の中にはちらほらと人が入り始め、皆寝る場所へ帰ってきた際の疲れた表情をしながら階段を上がっていく。


「ふむ。随分と話し込んでしまったようだな」


「……? あわ……ホントです……空が赤いです……」


 話に夢中になっていたプニマも、窓に眼を向け現在の時間帯を認識した。


 このまま夕食を取り、風呂でも入るか。そう考えていたとき――


「お? お二人さんただいまー」


 ――ドラゴが宿屋に戻ってきて、オレ達に声を掛けてきた。そして部屋には戻らずそのままテーブルに着く。


「お、おかえりなさいです、ドラゴさん……!」


「プニマちゃんは良い子だなぁ……。こんな子にお帰りって言って貰えるなら宿屋紹介した甲斐があったってもんよ」


「調査の甲斐は」


「残念ながらそっちは無しだ。おかげで俺の妹はイライラして……あぁ、こえぇ……」


「“妹”だと……?」


「あぁ、気難しくてこえー妹だよ。聞いてくれよ、妹――ニュークミルってんだけど、ソロでハンターやってんのに俺達のパーティに無理矢理付いてきたんだぜ? なのに調査が進展しないとあーだこーだ言って文句言ってきやがって……」


 人様の文句を言うというよりは身内の苦悩を語るような、親しげな口調で愚痴を言うドラゴだったが――語る最中(さなか)に背後に何者かが近づいて、静かに立ちどまった。


「Sランクハンターの癖にこそこそ陰口? みっともないわね」


「い゛っ!?」


 凛々しいような、突き放すような、強い声色に反応したドラゴは、バツが悪そうな表情と共にすぐさま振り向いた。それに合わせてオレも振り向く。


 そこには――深い夕空を映したような赤髪で、気丈な顔つきをした女性が立っていた。赤髪に合ったドレス風の装備や、部分部分に身に着けている急所を守るアーマー、気の強そうなツリ眼、などなど、眼を引く部分は様々あるが――何より、こんな乳でハンターをやっていられるのか?


 乳がでかい。そのでかい乳の上下にベルトを巻いているのは、押さえているのか強調しているのか。どちらにせよ、服越しでも分かるむっちりもっちりさは、これはもう胸やおっぱいではないだろう。乳だ、まごうことなき乳だ。


「ニュークミル!? い、いや、陰口ではなくな? ちょっとした愚痴というかなんというか……」


「ふーん、別に良いけど。……それよりコイツ等誰」


 乳がつっけんどんな態度で喋っている。ツンとしてる態度と口調は、まるで乳の先端のようだ。


「あ、ああ。この二人は昼間ギルドで知り合った者達で――」


「は、始めまして……! 旅人の、プニマって、言います……!」


「そ。……それで? こっちの、ずっとおっぱい見てくるヘンタイは?」


「オレはデルコイノだ。プニマと共に旅をしている」


「……何処見て挨拶してんのよ。――眼、潰してやろうかしら?」


 乳は乳の下で腕を組みながら迫力を出してくる。ふと見上げれば鋭く冷たい目つきで見下されていた。興奮するではないか。


 気丈で気の強い彼女は、男に怖じない確かな強さを持っているようだ。天はもうニ物を与えているというのに、あと幾つ物を授ければ気が済むのだろう。豊満な乳から目を放すことができない。


「お前さんよぉ……正直なオトコだなぁ……」


「身長が高い者や変わった者を見かけたならば興味としてついつい目を惹かれてしまうものだろう。オレも風呂屋ではよく眼を向けられるからな、持っている者の宿命というものだ」


「男共からチラチラ見らてるのなんて別に慣れてるから良いわ。でも、ここまで堂々と見てくると舐められてるみたいでムカツク」


 なんと奇遇な。オレも風呂場で見られているとついイライラして元気になってしまうからな、気持ちは分かる。


「手を出そうだなんて不届きなこと考えないでよね。今までもセクハラして来た奴等や襲おうとしてきた奴等全員ボッコボコにしてきたんだから、アンタだって躊躇なくボコボコにして燃やせるわよ。このジロジロ見てくるだっさいドーテー丸出しのヘンタイ男」


「ふっ、そう褒めるな」


「褒めてないんですけど? 何こいつホントキモ……」


 そう言って乳はテーブルを回りこむと、プニマの隣にドカっと座る。歩き方も座り方も、苛々というものが見て取れる所作であり、座る姿は頬杖を付いて足を組んで、やはりどこか苛々を感じさせる風体だった。ドラゴは言うには調査が進まずイライラしているらしいからな、その感情が表にも出ているのだろう。


「ちょっと、ドーテーのヘンタイ。アタシが座ったんだからどっかいきなさいよ」


「……」


 つんつんした態度にプニマは萎縮してしまい、居心地が悪そうな表情へと変わる。それは流石にいただけないな。


「暴虐武人を振りかざすのはオレだけにしろ。プニマを巻き込むな」


「は? 別にアタシは……ふん!」


 乳は一瞬だけプニマに眼を向けると、その後顔を背けた。


「あのなニュー、そんなんだからお前友達の一人も――」


「うるさい! アタシは一人が好きだから一人で居るの! 別にドラ兄からとやかく言われる筋合いなんてないんだから!」


「ほう? オレも一人は好きだぞ、あの時間は掛け替えの無い時間だ。……ふむ、キミに親近感が沸いてきた」


「黙れドーテー! アンタから良く思われても気持ち悪いだけよ!」


「童貞など……そう連続して褒められると気持ちが良いものだ……。フッ、キミも処女なのかな?」


 オレは、オレを褒めてくれる優しい女性へ、一般的な質問を投げかける。


 処女とは、童貞とは、自らの貞操を守り、そして愛すべき一人の為に奉げることで初めて失われるものだ。誇るべき勲章であり、これこそ純粋な愛、これこそが一人の為に体が純粋であることの証拠。親近感が沸いてきた彼女も、オレと同じ純愛を愛する者であるならば――


「も? もってなに!? どんな距離の詰め方してるのアンタ!? べ、別にアタシは処女じゃないし! 百人? くらい? 男と寝てますけど!!」


 ――――なに? 


「ぶち殺してやるぞクソビッチがァ……!」


「何よアンタやるっての!? 良いわよ掛かってきなさいよ! その眼潰してあげるから!」


 不特定多数と寝るビッチなど、純愛の対極に位置する性属性ではないか。愛のない、快楽だけを求めた男女の交わり。時にはその淫らな性を振りまいて恋人同士の愛を引き裂く要因となり、時には人間関係をも壊し、時には寝取り寝取られ、時には――時には――。目の前の女は、コイツは、お前は、オレが一番忌諱するタイプの人間だァ……。


「あのなお前等、少しは落ち着け。ここは食堂、そして小さい子も居るんだ。慎みを持って会話をしなさい」


「ぇわ……。わ。わたし、だいじょぶ、です……はい……どぉてぃ……びっち……」


 むっ、プニマが顔を赤らめながら俯いているではないか。ビッチという下世話な者が下世話な言葉を発したせいだろう、あまり教育にはよろしくないな。


「プニマよ、キミも連鎖して穢れる可能性がある。こっちに来い」


「は、はい……?」


「……こっちに座ってなさいよ」


「え、えっと……?」


「なんだこのクソビッチがプニマも淫の享楽に引き入れるつもりではないだろうなァ……!」


「ちが、そんなんじゃないわよ何考えてるのよドヘンタイ! アタシレズじゃないし!」


「俺の妹も何考えてるんだよ……」


「ぇわ、ぁわ……」


 オレとクソビッ乳が対立し、プニマはあたふたとし、ドラゴは頭を抱えている。


 こうなってしまったのもクソビッチの性だ。金輪際コイツとは関わらないようにしなければ、腐ったミカン同様にオレの周囲が全て穢れてイク。


 始めは興味を持っていた二つのたわわも今ではただの脂肪の塊にしか見えない。むしろ腐ったスイカだ、穢れきって黒い縞模様が全て白濁に汚染された緑と白のツートンカラーの汚いスイカだ。


 オレとクソビッ乳がにらみ合っていると――ドラゴが姿勢を正して真剣な顔へと変わった。


「そこまでにしときなさい」


 その言葉に、クソビッ乳は不満げな態度を露にしながらもそっぽを向いて座りなおす。オレもオレとてドラゴには礼があるからな、ここは顔を立てて引いてやろう。


「ニュー。エヴァーとハイドゥは」


「知らない。途中で別行動とったから」


「そうか……。あ、今の二人は俺のパーティメンバーだぜ。エヴァーは神官、ハイドゥは近接戦闘もこなせる呪詛師で、二人共Sランクのハンターだ。そして頼れる自慢の友達でもある」


「ふむ、仲が良いのだな。その二人とは別行動をとっているのか」


「手広い森を四人まとまって捜索するのは非効率だからな。戦力を分けたとしても、俺は単独でも、二人はセットで居れば、並大抵の事は対処できる。だがまぁ……」


「何よ。別にアタシだって一人でなんでもできるもん。それに、二組に分けるよりも三組居たほうが効率的でしょ?」


「んむぅ……あの二人はお前に甘いからなぁ……。明日は俺と行動しろ、ちゃんと付いて来るんだぞ」


「嫌よ。ドラ兄一々煩いんだもん。そ・れ・に、アタシはもうAランクハンターなの! 子ども扱いしないで!」


「十七歳なんてまだまだ子供だろ……いや、兄からすれば妹なんていつまでも子供なんだぞ」


「ハッ、百人と寝たのならば穢れたオトナだろう」


「お前さんよくもまぁあんな見え見えの嘘に――」


「アンタは黙ってなさいヘンタイ! アタシ達は真剣な話をしてるの、邪魔しないで!」


「ひぅ……!」


 ガッと立ち上がって大声を上げたクソビッ乳のせいでプニマが萎縮してしまった。だが、クソビッ乳はそのプニマの姿を確認するとすぐに座りなおしてまたそっぽを向いた。


 フッ。穢れたお前にはプニマの清純さが眩しかろう。思わず逃げて眼を背けたくなるくらいにはな。


「……プニマちゃん、コイツは根は悪いやつじゃないんだ。仲良くしてくると嬉しいな」


「べ、別にアタシは仲良くしたいだなんて思ってないし……」


「え、えと、えと……。……。にゅ、ニュークミル、さん……。わたし、と、おと、お友達に……」


「!! ……ふん」


「ニュー、お前ホントそんなんだから何時までたっても……兄は心配で心配でもぉ……」


 ふむ。どうやらプニマは友達、というよりも人との繋がりが欲しいらしい。人とはどうしても他者との繋がりを求めてしまうものだ、それは、一人ぼっちになってしまったプニマにとってはより強く、求めてしまうことなのだろう。


 クソビッ乳はクソビッチだが、同時に人が出来上がっているドラゴの妹でもある。前者は多大なるクソ要素で、後者は多大なるプラス要素だ。総合すると大きくマイナスに傾くが、だからと言ってプニマが自分から友達になりたいと思って声を掛けたというのにオレが邪魔することもないだろう。彼女の意志を尊重してあげたい。


 何かあればオレが防げば良いだけの話だ。


「おいクソビッ乳。プニマはとある事情で身寄りを失くしている。そのような少女が健気に友達となれと命令しているのだ、従え」


「わた、命令、してない……!」


「……め、命令なら? 仕方ないわね? しょうがないから友達になってあげるわよ?」


 なんだこの上から目線風下から目線のビッチ。上でも下でも寝まくって股を開くこと以外に人様との関わり方を知らないんじゃないだろうな。


「はわ……! あ、ありがとうございます……!」


「仕方なく、仕方なくよ? 何か欲しい物ある? 買ってあげるからなんでも言いなさいね? お金欲しいのなら用意してあげるわよ? いくら、いくら欲しい? 言うだけ言ってみなさい? あ、でも、お金渡すんだから友達で居てね?」


「それは友達の形としてどうなんだ……?」


「金と性でしか繋がれないとかアバズレが極まっているな」


「ち、違うし! だって物的な繋がりがあったほうが良いでしょ!? 安心するじゃない!」


「妹よお前……将来変な男に引っかからないか心配になってきた……」


「引っかかるというかぶっかけれているだろうその女は」


「プニマ、ちゃん? プニマ? プニマさん? どう呼べば良いの? いっそのことぷにぷにちゃんとか? あーでも急に名前呼んで気持ち悪がられたら……女さん、とか……?」


「えと、好きに呼んでもらえれば……。ニュークミルさんは、ニュークミルさんで良いんですか?」


「べ、べつに? 好きにすれば?」


「あのさぁニューさぁ……」


「友達ってどうやって接すれば良いんだろう後で本買って勉強しなきゃ本屋さん何処にあったかな確か古書店があでもあのお店耽美系しか置いてないし――ぷ、ぷぷ、ぷに、ぷにま、プニマ? よ、良かったらで良いんだけど、あし、あしあしあしあした、二人で、お出かけ、しない?」


 なんだあのビッ乳は。話し方がそこはかとなく気持ち悪いな。


「お出かけ……! したいです……!」


「ほほほほんと!? べ、べつに? したいなら、付き合ってあげるけど?」


「デルコイノさんも一緒に、三人で!」


「ふた……り……。アンタ偶然今夜が寿命になったりしないかしらね。墓くらいなら手向けとして買ってあげるわよ」


「ニュークミルさん……もしかして、三人、いや、ですか……? みんな、一緒に……」


「うっ……! し、仕方ないわね! 三人で町巡りしましょ! あ、あ、そだ、ぷに、ぷにぷに、ぷにま? ご飯取ってきてあげる、デザート要る? 追加でオーダーできるわよ?」


「でざーと……! あ、でも、お金……」


「出すわよ全然出すわ! だからこれからもお友達ね! 行くわよ!」


「あ、え――」


 クソビッ乳はプニマの手を強引に引いて食堂のカウンターへと連れ出して行った。


 残されたドラゴはというと――。


「俺ぁあんな妹初めて見たぜ……。昔っから負けん気が強くて、人と上手く接せないの隠したくてずぅっと他人につっけんどんな態度とってたってのに、まさか――プニマちゃんが――歩み寄ってくれて――あの子は天使か……ッ」


 ――眉間を押さえながらツゥっと涙を流していた。


 その後に運ばれてきた料理は、女性二人はデザート付き、ドラゴは通常のメニュー、オレの分は持ってきて貰えなかったというより遠くの席に配膳されて間接的にどっか行けと言われたクソビッ乳がくたばれ。

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