第25話 本当に「中学生かよっ」て言いたくなる話
一日寝かせたウッズさんスーパーカゴ盗難事件の続報です。
一日寝かせた理由は、私がかなりダメージを受けていたから。うん。
なので、これは昨日の話なのですが、朝出勤してきたウッズさんが先に来ていた私の顔を見て開口一番。
「西野さん、会社にチクるの止めてもらえません? なんや会社にチクったらポイントでも貰えるんですか?」
ですって。
多分この「ポイント貰える」ってフレーズ、彼なりに関西人らしく考え抜いて面白いことを言ったつもりなのでしょが、はい、取ったのは笑いではなく、私の表情です。
これ以降、私は一切表情を変えずに彼に対処します。
以下、ほぼセリフだけで進行していきますが、頭の中には絵に描いたような小太りのガラの悪い大阪人を思い描いて下さい。元僧侶のね。
もう一人は精神障害者の自分の怒りにも嘘がつけないバカ正直、というよりただのバカなオジサンです。
「ポイントってなんや? クソつまらん。で、チクった? 会社と事業に迷惑かける行為したんやから、それを報告しただけじゃ。会社に対応させるんは当たり前やろ」
「僕に直接言ったらええやないですか」
「お前に言ってもなんも意味ないから会社に報告したんやろうが」
「ほんなら、アレですか? Y口さんが深酒して朝のアルコールチェック吹かへんのは報告したんですか?」
(アルコールチェックは形骸化していて、タイムカードの打刻の働きしかしておらず、一人が纏めて出社した人の分吹く)
「それはみんな(班長・副班長含む)知っとることやから私から報告することじゃない。お前の盗難の件は副班長にまず報告して、副班長が会社に報告した」
「でも会社はY口さんの件知らんようなこと言うとったけどなあ」
「お前は掃除サボって叱られた中学生か。『Y口くんもサボっとるのになんで自分だけ』っていうガキと同じやんか」
「へえ」
「で、何ずっとヘラヘラしとるんや?」
「あ? もともとこんな顔ですねん」
(ダダスベり&西野氏無反応でウッズさん真顔に戻る)
「ただでさえ島外から入ってきた人間に対する目が厳しいのに、お前はどんだけ周りに迷惑かけたか分かっとるんか?」
「は? なんですか、それ? カゴも返したし関係ないでしょ」
「そうか。会社が全然対応できとらんな。もういい、会長に電話する」
はい、そんな感じで会長に電話します。一年ぶりくらいにこちらから会長にコンタクト取った気がします。だって、私会長大嫌いだから。
そんな会長との会話。
「おう、ゆう。おはよう。どうした?」
「ウッズさんの件は聞いてます?」
「ああ、昨日聞いて本人とも電話で話した」
「なんも反省してないじゃないですか。どんな話をしたんですか? 窃盗をした人間になにも対応しない会社なんてやっとれんですわ。もう私は辞めますよ」
「そうかあ。それで辞めてそのあとはどがんすっとね?」
「さあ、私はこれが最後に残された道だと思っていましたからね。野垂れ死ぬしかないんじゃないですか?」
「うーん。まあ、ちょっと待っとって。もう一回ウッズとも話すけん」
「ああ、はい。はい。はーい。ほいほい」(そうは言っていないが、もう疲れてどうでも良くなり憶えていない)
さて、昨日(=盗難報告された翌日)は一度出勤してきたウッズさんでしたが、他の人には「腰が痛くなった」と言って仕事は全くせずにすぐ帰った模様。
そしてこの日の夜、会長から電話がかかってきました。ウッズさんからまた話を聞いたようです。
先に言っておきます。
今度は「お前ら小学生とその担任かっ!」って言いたくなりますから。
「おお、ゆう。今大丈夫か?」
「ええ」
「ウッズなあ、あれ、カゴは借りとったみたいで、今日返したらしいわ。だから盗ったんじゃなくて、」
「は? ちょっと待ってください。本気でそれ信じてるんですか?」
「いや、やっぱり会社やけんさ、事実確認ばせんと、」
「あのね、いいですか? カゴが必要って話題が出た時に『スーパーのカゴやったらなんぼでもありますよ』って言ってるんですよ? 借りた物に対してそういう言い方しますか? 情けない。『盗ってない、借りただけ』ってチャリ盗したガキの言い分と同じじゃないですか」
(この発言をした後、私は自身で『今日は例えてばかりだな』と苦笑したのでした)
で、なんやかんや話した後で会長が「今週末の三連休のどこかで一日だけでも島に行くからその時に直接話そう」と言われて「はい」と返事をしてしまったのですが、ハッキリ言ってもう話すことないんですよね。話したくもないし。
なので、会長に知らせてある電話番号の方のSIMはオフにしとこうかな、と考えている私でした。
ちなみにアルコールチェックの件はウッズさんが他の従業員にグダグダ言ったのか、彼の趣味である隠し撮りを活用してSNSででも発信したのか分かりませんが、ある従業員からの提案で「次から朝はちゃんと自分の分を吹こう」ということになりました。うん、数か月前までは普通にそうしてたんだけどね。
まあ、もう何年もアルコールを摂取していない(注射もアルコール消毒かぶれるので使わない)私なので、自身のアルコールチェックに興味がないのも良くないのでしょうが。
アルコールチェックの機械に息を吹きこむのに、ストローを使うわけですよ。
出勤時と退勤時。そのストローの消費量が結構な量でですね。ま、いいか。それは全然関係のない話だし。
さて、そんなウッズさん。今日も欠勤していました。そのまま辞めるのかな。辞めるといいな。でも、そうなると彼が島から出るまで色々心配だな。
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