第14話 ついつい言っちゃった言葉を一気に放出

 今日で一年の前半終了の6月31日。


 は? 7月1日だよって?

 6月は小の月?

 なんじゃそりゃ。

 31日まである月が大の月で、それ以外は小の月ですって?

 小の月、大の月って表現的におかしいじゃん。短の月、長の月に変えちゃえ。


 まあ、そんなことはわりとどうでも良いのです。

 言いたくなるんですよ、小の月が終わったその日に「今日は31日でしょ?」って。

 そんなね、言いたくなって口から出てしまった言葉、色々あります。


 その1

「わざわざ3枚入り渡した意味ねえじゃん!」


 これね、私が休憩所に水筒忘れていたのを、メガネおにぎり君(仮称)が「そっち方面に行くついでなんで」と家まで持ってきてくれたのね。

 で、そのお礼に赤カマスの干物(自家製)を渡したんですよ。

 メガネおにぎり君は、会社の寮に3人で暮らしているので、メガネおにぎり君の目の前で「3枚入った奴があったと思うんだよね」と冷凍庫を物色。

 で、3人で食べてね、とは言わずに渡したら、翌日。

「めっちゃ旨かったです。一気に3枚食べちゃいました」

 なんてぬかしおる。で、

「ひとりで食ったんか? わざわざ3枚入り渡した意味ねえじゃん!」

 となったわけですね。

 数日後、赤カマスが多く釣れた日の正午前、メガネおにぎり君に電話して、

「箸と塩を準備して待っていろ。他の二人にも伝えてよ」

 と言って、赤カマスの切り身(皮付き)とバーナーを持って彼らの寮に行って、炙りたてに塩を振って食べてもらいました。全員衝撃を受けていましたね。

 もし料亭等で節分の時期の赤カマスを食べるチャンスがあれば、「炙って即塩を振って食べたい」とお願いしてみましょう。もしくは、うちの島に遊びにおいで。


 その2

「そういうのが一番嫌いだって最初に説明したはずですよね?」


 元警視庁で元〇〇日本一の新人D(ただし〇〇しかできない)の歓迎会でのこと。

 あ、〇〇はある競技なのですが、さすがに検索すると一発で写真・名前付きの記事がいくつも出てくるので一応伏せときました。

 そしてこの新人さんは今回関係ありません。

 私がそのセリフを言った相手は、このエッセイで「口だけ男」として定着している我が社のE会長。

 私の今の住まいは市営住宅ですが、来年春にパートナーと住むと、居住可能な収入上限を超えてしまう。そこで、入社前から約束していた「社宅」の用意を急ぐよう言ったときのこと。

「住所を分けて住んだら良いんじゃないか?」

 なんてE会長が言うのです。

 つまり、会社が保有する家屋や宿舎がいくつかあって、そのどこかに住民票の住所だけ移せと。

 堂々と不正行為を「ナイスアイディア」と得意げな顔で勧めてきたのです。

「それって不正じゃないですか。言ってますよね、最初に電話で会長と話した時から。そういうのが一番嫌いだって最初に説明したはずですよね?」

 これはかなりの語勢で言いましたね。皆の前で。叱責したと言っても良いほど。

 かなりのダメージを受けた様子でした。悔い改めよ、ですよ。


 その3

「自分で行って歩いて来いや」


 私が日々働いている、いくつかの組織で構成されている作業グループ。その責任者がこのエッセイでは「島流しのK」として度々登場している人。

 その人に会議の場で言ったのがそのひと言。

 知っている人は知っている。知らない人は知らないでしょうが、私は基本的に繁殖酪農家が牛に食べさせる牧草を育て、収穫し、農家に届ける仕事をしています。

 島内には私たちが管理する圃場(牧草を育てる畑)が沢山あります。総面積は東京ディズニーランドと同じくらい。

 長年耕作放棄地だった圃場も多く、圃場へ行く道が荒れていて危険な個所もあります。

 その危険個所に話が及んだ時のこと。

 作業員A「あっこもあぶねえの」

 作業員B「道のえぐれとっけんね」

 島流しのK「えぐれてる? どの辺? 補修はできない?」

 事務方C「う回路を整備した方が早いかもですね」

 島流しのK「う回路が作れるん? どこに?」

 私「ぐだぐだ聞かずに一回自分で行って歩いて来いや。自分で見んと最終判断もできんだろ」

 周囲の作業員「まあ、自分で見てもらわんとな」「それが早いわな」等

 私「明日にでも行け。行け行け」

 うん、この話になる前の段階でも苦笑しか出ないような物言いをしていた島流しのKだったので、もうイラっとしてましたね、私。

 Kとは一番離れているくらいの位置に座っていたので、結構大きな声で言いました。

 当然ですが場は凍りますよね。

 Kは「あぁ、まあ、危険な個所は結構あるみたいなんでね、また班長さんたちとね、見てみんといけんですね」的な感じのことをブツブツ言って、話題を次に変えていました。

 私もこれはちょっと反省。強く言いすぎた。


 まだあるんかい? の、その4

「それには賛同できませーん」


 先程の島流しのKは、土地管理・利用部門の責任者ですが、今度の相手は営農部門の責任者N。

 先月入社してきた元僧侶(妙な肩書の人が集まる島だよね)のウッズ君(仮称)の歓迎会でのこと。

 時期的には収穫作業で一番忙しい時期。梅雨入りを控えて、雨が降る前に牧草を刈り取り、乾燥させ、収穫したいところ。

 この時期の朝礼ではNが「今週までが勝負なんで」と、3週連続で言っていましたね。梅雨入りが遅れたってのもありますけど。

 で、ある好天が続いた週のこと。

 労働基準法の中にある「週に1日は休日を与えること」という規定。

 つまり、カレンダーの1段の中で、どこか1日は休まないといけないわけです。

 その規定を守りつつ、収穫作業を行うため、この回のトップバッターであるメガネおにぎり君は、メンバーを2つに分けて交代で休みを取る、という作戦に出ました。

 一番わかりやすく、効率のいい方法だと思いますし、皆も納得してそうしました。

 ですが、この休みの取り方にプンスカしたのがN。歓迎会の場でもそれを持ち出してグダグダ言っています。

「繁忙期なんだから、休まずにやれよぉ。梅雨入りしたらゆっくりできるんだから。なーにが1週間に1日は休まないとダメって。農家は誰もそんなことせんぞぅ」

 ね。言いたくなるでしょ。

「個人の農家じゃなくて会社なんだから。それには賛同できませーん。大きな事故が起きてからじゃ遅いですよ」

 実際にね、梅雨入り直前は、ちょっとした怪我をする人が増え、車や機械をぶつけちゃう、壊しちゃう(主に〇〇しかできないD)ってことが多発してたんですよ。疲れが抜けていないのね。

 そういうこともまとめて言うと、Nは会長に「お前はどう思うや?」と聞きますが、私に睨まれた会長はお茶を濁すような言葉しか出せず、Nも「ああ、もういい! 愚痴は言わん。肉食べよう!」となったわけでした。


 口はナントカのもと、と申します。皆さんは発言には気を付けましょうね。

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