地デジがサブチャンネルを使わない理由

山本正純

地デジがサブチャンネルを使わない理由

 2024年1月1日。その日、大きな出来事があった。石川県で震度7の大地震があったのだ。

 当然のように、地震発生直後から緊急放送が始まり、各局が地震の情報を伝え始めた。そして、その日放送されるはずだった正月特番は休止を余儀なくされた。

 そんな時、地震が起きた地域とは違う場所にいる人々は同じことを考えただろう。


 なぜ、地デジのサブチャンネルを使わないのだろうか?


 地上デジタル放送にはサブチャンネルというものが存在する。それを使えば、最大で3つの異なる番組を編成することが可能なのだが、現状、あまり使われていない。


 2020年、コロナで休校になった子どもたちのため、地方のテレビ局が授業動画をサブチャンネルで放送した。

 そんな事例があるにも関わらず、なぜかサブチャンネルをテレビ局は使いたがらないのだ。


 その理由は2つある。

 画質の低下とスポンサーの問題だ。


 現在の地上波放送は、複数のチャンネル枠を使い高画質を維持している。その状況でサブチャンネルを使えば、アナログ放送と同等の画質に低下する。


 別に画質が荒くてもいいから正月らしい番組が見たかったと考える人もいるだろう。そこにスポンサー問題が絡んでくる。

 例えば、某テレビ局で延長戦に突入した野球中継とバラエティ番組をサブチャンネルで放送したとしよう。

 そうなれば、野球中継とバラエティ番組ではスポンサーが異なるため、両番組のスポンサーにサブチャンネルで別の番組を放送すると交渉する必要性が出てくる。

 果たして、画質が低下することを両番組のスポンサーが納得するのだろうか?

 

 野球中継とバラエティ番組。視聴率が高い番組の方が儲かり、視聴率が低い番組の広告収入が減少する。

 それでは本来の利益を得ることができない。



 様々な問題が浮上し、困難な交渉になるだろう。


 地震災害に関する緊急放送にはスポンサーという概念が存在しないが、当初放送予定の番組のスポンサーを納得させなければならない。

 中には低画質放送をよしとしない芸能人もいるだろう。


 様々な思惑が交錯し、今日もテレビ局はサブチャンネルを使わない。


 そんなことを考えながら、見逃し配信で正月特番を見よう。



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地デジがサブチャンネルを使わない理由 山本正純 @nazuna39

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