最近のラノベは描写が薄い!
どうも、熊ノ翁です。
なんか「最近のラノベは描写が薄い! 伏線張らない! 文章力が足らない!」とか何とかって話題が創作界隈で盛り上がってまして。
「最近の◯◯は〜」なんて話題で盛り上がるとか、創作界隈の「老い」を感じずにはいられないわけですが、とりま今回はこの話題について語っていきます。
この「最近のラノベは〜」ネタなんですがな。
一体いつの頃から言われてたかというと、熊が覚えてる限りではスレイヤーズの頃から言われてましたね。
あの頃はまだ「ラノベ」って言葉が無かったかと思いますが。
学校の先生が「こういうのは小説じゃ無いから読書感想文で書くな!」みたいな事言ってキレてたのを覚えてます。
ちな、同様の事を言われてアウト判定食らった小説に「小説ドラゴンクエスト」があったり。
あれ、結構ガチでファンタジー小説やってたんですけどな。
ともあれ。
昔は「最近の小説は〜」と言われていたのが今は「最近のラノベは〜」に変化したってだけで、言われてる事は昔っから変わってないわけです。
なので「最近のラノベは〜」とか言って気持ちよくなっちゃってる人達は、自分がかつてされてムカついたであろう老害ムーブを、時を経て今度は自分達がやっちゃってるわけで。
なんかこう、歴史の残酷さを感じますね。
この手の「昔の小説は〜」的な文言は、それこそ「最近はこんな娯楽本ばかり読まれて、四書五経のような思想書が読まれない! あんな娯楽本など大説である四書五経に比べれば、小説だ!」とかって小説の起源の話にまで遡るので、まー不毛なんですがな。
ただ、そういう不毛な話題こそ繰り返し語られる物なんですよな。
「最近の若者は〜」なんて話題が古代文明時代から続くように。
と、こんな事を言っといてアレですが。
実は熊、この描写、伏線、文章力の不足を指摘する「最近のラノベは〜」という意見については「もしそうであってもおかしくないかもな」と思ってたりします。
まあ、今のラノベがガチで描写が薄く、伏線が少なく、文章力が足りてないのか実際の所はわからんですけども。
そんなん検証できるほど最近のラノベ読んでないしね。
でも、仮にこれらの指摘が正しい物であったとして、その場合に「そうかもしれない」と思える理由はあるわけで。
それをちょいと載せていきます。
まず、今のラノベと昔のラノベで大きく変わった事としては、ネットで読まれる事を前提とした本が書籍としても出版されている、というのがあります。
「ネット発、大人気ファンタジー」だとかって謳い文句のラノベ、見た事ある方も多いでしょう。
ラノベの市場規模はともかく、出版される本の種類、つまり新刊点数は2000年初頭と今とでは大きく違います。
具体的には、2003年のハルヒが刊行された年の新刊発行点数は年間967点ほど、対して2021年は2641点ほどの作品が出版されています。(ラノベの杜さん調べ)
新刊の出る量って、今と昔じゃ実は2倍強も差があるんすよね。
その増えた分の少なからずがネット発信の小説なのでしょう。
で、そうなると「インターネットで読む人向けに作られた」小説が「書籍として」世に出回っているわけで。
どちらも結局は同じ物語でありそこに優劣があるとは熊は思いませんが、しかし狙うターゲット層に差がある以上、目指す「面白さ」は違う物でもあるのかなとは思います。
例えば、既存の小説は一冊で大体話が完結している物が基本だが、ネット発の作品はそもそも「一冊で区切る」という必要が無いので、書籍にした際に話が一冊で完結していない物も少なくない、とか。
そして、ネット小説の場合読まれるのは、スマホで、通勤通学途中等の隙間時間に、他のインターネットコンテンツやアプリを使う合間に、十分程度読まれる、という環境にあります。
その環境の読者に向けた物語となると、短時間でスルスル読めて話が進む物語という事になり、必要最低限の文章でとにかくイベントを進める、といった話になってくるわけで。
そうなると、長々と情景描写の書かれた物語や、先まで読み進めてようやくわかる伏線の張られた物語というのは、話のクオリティ以前にスタイルとして隙間時間に読む物としては適していないのではないかと熊は見ます。
そのような環境下で人気の出た物語が書籍となり、普段ネット小説を読まない層が読んだ時、作られた物語のスタイルの違いから「これは描写が薄い! 伏線が張られていない!」といった感想を抱いたとしても不思議ではないかな、というのが熊の意見です。
文章力については、展開が早く、文章表現があっさりしてる事をもって「文章力が無い」とレッテル貼られてるだけな可能性もあるので、その点については熊は何とも言えません。
ただ、短い文章で読者に状況を伝えるというのは、立派に力のある文章だと熊は思いますがね。
今は電子書籍もあってスマホで本を読む人も多くなってきてるわけですがな。
その辺の「読書環境の違い」というものがある現代で、昔ながらの邪魔の入らない紙ベース主体での読み方に当てはめて物事見たなら「最近の◯◯は〜」といった意見が出るのもわからんでも無いかなと思います。
まあ何にせよ、売上を作るのは実際に本を買って楽しむ読者の皆さんです。
実際に今を生きる読者さん達から選ばれている本が、昔の本に比べて劣ってるとは、熊は思えませんね。
最近のラノベは描写が薄い!……END
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