反面教師とドリームキラーの存在 前編

『リザーブ ソーヴィニヨン ブラン

 2022

 ヴィラ マリア』


 ニュージーランド(以下NZと略す)ワインといえばソーヴィニヨン・ブラン、と言われるほど最大生産量にして最重要な白ワイン用品種である。

 その存在を世界に知らしめ、そして今日こんにち高い評価を受けている。

 その最大の立役者がこのヴィラマリアだと呼んでも差し支えないだろう。


 今回のワインはワンランク上級のリザーブ、使われているブドウはワイラウバレーという地区、南島のマルボロ地方では比較的温暖な気候の地区で栽培されたものだ。


 さて、早速開けてみよう。


 すぐにグラスから立ち上がってくるグレープフルーツやパッションフルーツなどが実に力強い。

 味わいは熟した柑橘系とトロピカルフルーツのような甘さ、後味の良い酸味が心地良い。

 

 典型的なNZのソーヴィニヨン・ブランらしいスタイルでありながら、更なる複雑な味わい深さと濃厚な力強さのある逸品である。


『どんがら汁』


 山形県庄内地方の郷土料理で、寒ダラの身もアラも内臓も全て鍋に入れて味噌で煮込む。

 もともとは漁師が浜で食べていた漁師飯らしいが、冬の定番料理として根付いている。


 ササッと作り終わったら実食だ。


 脂ののった「あぶらわた(肝)」を味噌ベースのスープに溶いているからか、コクがあってどっしりとしている。

 白子のトロリとした食感や岩のりの磯の風味もまた旨味を更に広げてくれる。

 ネギや酒も入っているおかげか、生臭さも抑えられていて箸が進んでいく。


 そして、ワインと合わせよう。


 濃厚な味わいの鍋だったから合うか心配だったが、ワインもまた通常のソーヴィニヨン・ブランよりも濃厚であったために上手く噛み合ってくれたようだ。

 胃にどっしりとくる磯の風味の強いどんがら汁であったが、柑橘系の爽やかさで食欲が止まらない。

 後味の酸味もあり、スッキリと味わうこともできる。


 NZも日本と同じく海に囲まれた島国である。

 シーフードが良く食されるので、ワインと料理の相性も良かったのだろう。


 幸先の良い食事となったが、入学当時はどうだったのだろうかと思いを馳せる。

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