第4話 進まぬ関係
黄昏が闇に包まれる瞬間である。私の隣にミチルさんが居た。高校から駅まで二人で歩いていたのだ。
「これって、こ、こ、恋人同士なのかな?」
ミチルさんが声をつまらせて私に問うてくる。その時にはもう闇が支配する夜になっていた。
「手でも繋ぐか?」
「いやいやいや……」
私が手を近づけると顔が赤くなり否定する。ホント、見た目はギャルなのに中身は純粋な少女だ。
「私の×××は予約済みです」
「ゲホゲホ!!!」
普通は処女と表現するがダイレクトに言うか。やはり、処女ではなく、経験済みなのか?
「エレベータに閉じ込められてから、勉強しました。私の×××は疼くのです」
あああああ、嬉しいような悲しいような微妙な気分だ。
「ミチルさんは初めて?」
ここはちゃんと聞いておこう。後で後悔しない為だ。
「はい、キスは初めてです」
「いや、エッチですけど……」
ミチルさんはカーっと顔が赤くなり下を見つめる。
「私は上が得意です」
赤面したミチルさんから漏れた言葉は衝撃的であった。やはり、ギャルだもんな。私は何を期待していたのだ?経験が有っても恋人同士になれた気がするのに。左手が恋人の人生で初めての恋だ。ここは謙虚に受け止めよう。
そして、夜。
何故こんなにも苦しいのであろう……?
エレベータにミチルさんと閉じ込められてから。満たされぬ想いが生まれた。ここで本当ならメッセージアプリでお互いの気持ちを確かめ合うはずが、それができないでいた。簡単に言えば交換してないのだ。
私はソシャゲーを立ち上げて夜の闇の時間を潰す。やがて、睡魔が現れて眠りに落ちる。
最近はこの繰り返しだ。
授業の合間のミチルさんは上位カーストの仲間と話している。その輝きはギャルと言うモノを超越していた。
放課後の文芸部の中だけはオタなミチルさんを見る事ができた。
「おう、兄ちゃん、ミチルさんとの関係は進んだかな?」
部長のミキティが絡んでくる。ミチルさんとの関係が進んでいないのを知っていて絡んで楽しんいるのだ。
「あー二度目のキスもしてないです」
「それは残念、この媚薬でも使うか?」
ミキティが小さな小瓶を取り出す。まるで悪魔のささやきだ。
「なら、先ずはミキティで試していいですか?」
「むむ、そう来るか」
ミキティは迷い無く小瓶のふたを開ける。小瓶の香りをミキティが嗅ぐと目がとろんとなる。
おい、本気か?部室内で何を始めるのだ?
「あ~ぁ」
深いため息の後でモゾモゾとした様子のミキティが寄って来るのであたった。
ひいいいい、ミチルさんが見ている。このままでは修羅場だ。
すると……。
『ベシ』
ミキティが私の頬をビンタする。
「あぁぁぁぁ、快感!!!」
サドなのか?サドなのか?とミキティの媚薬の効果を思い知るのであった。
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