第3話 ポッキーゲームで胸をモミモミ
ミチルさんの入部も決まった事だし。私はラノベの読書に戻る。すると、視線を感じる。
チラ、ジー、チラ、ジー……。
視線の源はミチルさんでであった。
「ねえ、暑くない?」
ミチルさんは、その言葉と共に夏服のブラウスの胸の辺りをバタバタさせる。積極的アプローチにギャルの生態なのかと思うがそうでは無いらしい。
「こんな気持ち初めてなの、胸がドキドキして熱くてたまらないの」
ギャルなのに初めての恋とな、万年陰キャラの私には理解ができなかった。
本当は千葉にある夢の国にお泊りデートとかしているに違いない。
私が態度をジト目に変えると。
「もう、イジワル、本当に初めての恋なの……」
そうか?なら、信じてみるか。私の気持ちが揺れていると。
「伝説のポッキーゲーム!」
ミキティが突然話しに入ってくる。
「そこのお二人さん、愛を確かめ合うにはポッキーゲームしかありません」
私達の席を無理やり移動してポッキーを取り出す。強制的に始まったポッキーゲームである。ミチルさんのシャンプーの香りなのか甘い匂いが立ち込めていた。
ポッキーゲームが始まる。咥えたポッキーは甘いチョコレートの味が印象的であった。そして、ポッキーを食べ進むとミチルさんの口元が近づいてくる。これは初めてのキスなのか?陰キャラの私は大興奮であった。もう少し、もう少しで触れ合う。
「ダメ!!!」
ミチルさんがポッキーを折って逃げ出す。この動揺した様子は本当に恋愛経験が無いのか?
しかし、ミチルさんが無理な姿勢で動いたので私とミチルさんは床に倒れ込む。
『むぎゅーっと』
柔らかい……。
それは私がミチルさんの胸を掴むのであった。その後、直ぐに離れる二人であったが、ミチルさんは顔が真っ赤だ。
「バカ!変態!私は初めてなの」
いや、不可抗力だろ。
色々と言い訳を言葉にするがミチルさんはパニック状態である。
ええい、面倒臭い!!!
私はミチルさんの顔を両手で掴むとキスをする。
「むむむむ」
唸るミチルさんは腰が抜けた様に座り込む。
「これで恋人同士だ、胸を揉んでも問題ない」
我ながら凄い理屈だがミチルさんは大人しくなる。こうしてドタバタな恋愛が始まったのだ。
しかし、キスの後にぼっーとしていたミチルさんは正気を取り戻したかのごとく、不機嫌になる。
やはり、いきなりのキスは不味かったかな。
少し反省をしていると……。
「キスの味はどうだったかな?ミチル君」
ミキティが上機嫌で話しかける。ミキティはポッキーゲームの発案者である。キスで終わったから機嫌がいいのだ。
「甘かった……」
ポツリとした呟きは恋する乙女であった。
チョコレート菓子であるポッキーの甘さがあったのだから、当然の感想であるなどと身も蓋も無い事を思う。ホント、変な所で冷めているなと自分が嫌になる。
「なら、記念にこの色付きリップをあげよう」
「いや、色付きリップなど有るし」
本当ならここで『初めての色付きだ!!!』と喜ぶのだろうが、ギャルのミチルさんは色付きリップなど持っていた。
「あ、それ欲しい」
隣から山水美琴が手を出して色付きリップを奪うのであった。
「もーせっかくの乙女の初キスが見られたのに私がルールブックだぞ」
お前は子供先生か?キャラが子供になっているなと納得するのであった。
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